小雀こがら)” の例文
それによく似た五十雀ごじゅうから山雀やまがら小雀こがら、いずれも雀の字をガラとんでいるのは、クラと原一つであると見て大抵たいてい誤りはあるまい。
小雀こがららしい鳥がスイースイーと葦五位あしごいのようなかすかな細い声で鳴き交わすのが、妙に寂しいので、何だかあたりが見廻されてならなかった。
黒部川奥の山旅 (新字新仮名) / 木暮理太郎(著)
渡鳥わたりどり小雀こがら山雀やまがら四十雀しじふから五十雀ごじふから目白めじろきくいたゞき、あとりをおほみゝにす。椋鳥むくどりすくなし。つぐみもつとおほし。
寸情風土記 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
鳥立とだち見よ荊棘おどろのかげの小雀こがらだに白鷹す形して飛ぶ
晶子鑑賞 (新字旧仮名) / 平野万里(著)
宿をめぐる小雀こがらの歌 さあ起きよう
閒花集 (旧字旧仮名) / 三好達治(著)
この、秋はまたいつも、食通大得意、というものは、木の実時なり、実り頃、実家の土産のきじ、山鳥、小雀こがら山雀やまがら四十雀しじゅうから、色どりの色羽を、ばらばらと辻にき、ひさしに散らす。
茸の舞姫 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
朝ごとに來て鳴け小雀こがら
故郷の花 (旧字旧仮名) / 三好達治(著)
少々たいらな盆地になった、その温泉場へ入りますと、火沙汰ひざたはまた格別、……ひどいもので、村はずれには、落葉、枯葉、焼灰に交って、獦子鳥あとり頬白ほおじろ山雀やまがらひわ小雀こがらなどと言う、あかだ、青だ
唄立山心中一曲 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
……小雀こがら頬白ほおじろも手にとまる、仏づくった、祖母でなくては拾われぬ。
薄紅梅 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)