小幡おばた)” の例文
その妹のお道といふのは、四年前に小石川西江戸川端の小幡おばた伊織といふ旗本の屋敷へ縁付いて、お春といふ今年三つの娘まで儲けた。
半七捕物帳:01 お文の魂 (旧字旧仮名) / 岡本綺堂(著)
物識り顔な老人などをつかまえて尋ねたりしたところでは、それは小幡おばた助六郎信世と云って、二千石を戴いていた家中の武士に違いなかった。
聞書抄:第二盲目物語 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
これで諭吉ゆきちは、ぶじにふねにのり、いのちびろいをしたわけですが、神戸こうべ宿屋やどやについてみると、東京とうきょう塾頭じゅくとう小幡おばたから、手紙てがみがきていました。
「知らんのか。甲州武田家の御人ごじん小幡おばた入道日浄にちじょうの末で——勘兵衛景憲かんべえかげのり。——大御所に拾い出され、今では秀忠公の軍学の師として、門戸を張っておる」
宮本武蔵:06 空の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
企てられた事件であって、小幡おばたの城主織田信邦のぶくにの家老の、吉田玄蕃げんばをはじめとして、数百人の門弟があずかった。
娘煙術師 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
百五十両を掠め去るその二、三ヶ条を云えば、小幡おばたそのほかの人が江戸に来て居て、私が一切いっさい引受けて世話をして居るときに、藩から勿論もちろんソレに立行くけの金をれようけはない。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
参宮さんぐう小幡おばたどまりや明の春 里東
古句を観る (新字新仮名) / 柴田宵曲(著)
その妹のお道というのは、四年前に小石川西江戸川端の小幡おばた伊織という旗本の屋敷へ縁付いて、お春という今年三つの娘までもうけた。
半七捕物帳:01 お文の魂 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
「だまれ。人違いなどいたそうか。平河天神ひらかわてんじん境内に住む小幡おばた勘兵衛景憲かげのりが一弟子、北条新蔵とはわしがこと。こういったら、もう腹にこたえたであろうが」
宮本武蔵:06 空の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「——さては、小幡おばたの門人どもだな。いつぞやは、五人で来て四人を失い、こん夜は何名で来て何名が死にたいのだ。望みの数だけ斬ってやろう。……卑劣者めッ、来いっ」
宮本武蔵:06 空の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
で、実はわたくしが、小幡おばた家の跡を継がねばならぬことになりました。
宮本武蔵:07 二天の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
小幡おばた御厨みくりや科野しなの篠木しのき柏井かしわい秦川はたがわなどの各所に辺在して、各〻、上には頭目をいただき、武器馬具も盗みたくわえ、すわといえば、天下の稲を喰らい、領主なく国境なく、奔放野馬のごとく、また
新書太閤記:03 第三分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)