寐返ねがへ)” の例文
彼のへだて無く身近にるるを可忌うとましと思へば、貫一はわざと寐返ねがへりて、椅子を置きたるかたに向直り
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
たまの日曜にちえううしてゆつくりそらだけでも大分だいぶちがふなとおもひながら、まゆせて、ぎら/\する少時しばらく見詰みつめてゐたが、まぼしくなつたので、今度こんどはぐるりと寐返ねがへりをして障子しやうじはういた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
さばかり間遠まどほなりし逢瀬あふせなるか、言はでは裂けぬる胸の内か、かく有らではあきたらぬ恋中こひなかか、など思ふに就けて、彼はさすがに我身の今昔こんじやくに感無き能はず、枕を引入れ、夜着よぎ引被ひきかつぎて、寐返ねがへりたり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)