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寐返
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ねがへ
彼の
隔無く身近に
狎るるを
可忌しと思へば、貫一はわざと
寐返りて、椅子を置きたる
方に向直り
たまの
日曜に
斯うして
緩くり
空を
見る
丈でも
大分違ふなと
思ひながら、
眉を
寄せて、ぎら/\する
日を
少時見詰めてゐたが、
眩しくなつたので、
今度はぐるりと
寐返りをして
障子の
方を
向いた。
さばかり
間遠なりし
逢瀬なるか、言はでは裂けぬる胸の内か、かく有らでは
慊らぬ
恋中か、など思ふに就けて、彼はさすがに我身の
今昔に感無き能はず、枕を引入れ、
夜着引被ぎて、
寐返りたり。