宰領さいりょう)” の例文
「ま、そう怒らねえでもいいじゃねえか。ああ言っても、おれたちの宰領さいりょうは、とんだ話のわかる人で、人情もろいところもあるのさ」
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「おっと、危い、危い。」と云って、こども御輿の宰領さいりょうをしていた四番組のデブ頭と若い衆の徳さんが、棒鼻に手をかけて御輿を押し戻した。
桜林 (新字新仮名) / 小山清(著)
五頭の馬に、それぞれ荷物を積んで馬方が附添い、最後の一頭のから尻には、三度笠の合羽かっぱ宰領さいりょうが乗っていました。
大菩薩峠:19 小名路の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
彼はその衰えたからだを起こして、最後の「隠れ」にたどり着くための冒険に当たろうとした。その時、安兵衛は一人の宰領さいりょうを彼のところへ連れて来た。
夜明け前:01 第一部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
「わたしは式部官として、すべてが規定通り行われるよう宰領さいりょうせねばなりません。ムッシュー・ヴォルデマール、片膝かたひざをおつきなさい。そういう決りになっているのです」
はつ恋 (新字新仮名) / イワン・ツルゲーネフ(著)
荷車の諸君が斯様なものを、と笑った栗、株立かぶだちはんの木まで、駄々をねて車に積んでもろうた。宰領さいりょうには、原宿住居の間よく仕事に来た善良ぜんりょうな小男の三吉と云うのを頼んだ。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
道中宰領さいりょう安積玄心斎が江戸屋敷に出頭しての話によりますと、まだ源三郎様の御一行は、江戸の入口品川にとどまっていらっしゃる模様で、それにつきましては、司馬道場のほうと
丹下左膳:02 こけ猿の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
わざと、使者差立さしたてるまでもない。ぢやが、大納言の卿に、将軍家よりの御進物ごしんもつ。よつて、九州へ帰国の諸侯が、途次みちすがらの使者兼帯、其の武士さむらいが、都鳥の宰領さいりょうとして、罷出まかりいでて、東海道をのぼつて行く。
妖魔の辻占 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
「こいつァまるであべこべだ。どっちが宰領さいりょうだかわかりゃァしねえ」
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
このほうは宰領さいりょうとして、万が一にも、そのような不覚を踏ませてはと、しいて心を鬼にしておるのだ。わからんか。慈悲のムチが
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ここは篠井山しののいざんの山ふところ、お徳というのは先日、峠の上で竜之助を助けて来た「山の娘」たちの宰領さいりょうであります。
大菩薩峠:08 白根山の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
御自分が宰領さいりょうして御出帆になろうというのですから、こんな大丈夫のことはありませんね
大菩薩峠:31 勿来の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
徴税使の宰領さいりょうふたりは、やがてその陀羅尼院だらにいんの客殿におさまった。そして新兵衛から
私本太平記:08 新田帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
後年、江戸城修築の賦課ふかが諸侯に命ぜられた時、肥後藩においては都甲金平が宰領さいりょうして事に当ったが、なにかの行き違いから、都甲金平に石盗人の嫌疑けんぎが懸り、幕府の獄に投ぜられた。
随筆 宮本武蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
さっそくにも、りゅう君は、北京府ほっけいふへ潜行して、生辰綱しょうしんこうの輸送路を、どの道にとるか、護送の人員はどれほどか、またその宰領さいりょうは何者なるかなど、密々探って、その都度つど知らせてもらいたいものだが
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
と、宰領さいりょうの明石出雲介と黒沼彦四郎とが、やおら、腰をあげはじめる。
私本太平記:08 新田帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そして、宰領さいりょうたちへ
新書太閤記:05 第五分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
宰領さいりょうは、足軽頭か。
私本太平記:01 あしかが帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)