実否じっぴ)” の例文
旧字:實否
なにしろ其の儘にしては置かれないので、お徳はとりあえずその実否じっぴを確かめに行こうとすると、家主いえぬしもその噂を聴いて出て来た。
半七捕物帳:44 むらさき鯉 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
すると金魚屋きんぎょやは、そのころ時刻じこくだつたら、パチンコにいたとこたえたから、井口警部いぐちけいぶはその実否じっぴを、平松刑事ひらまつけいじめいじてたしかめさせることにした。
金魚は死んでいた (新字新仮名) / 大下宇陀児(著)
己が直ぐ往って実否じっぴを正して来ると支度をするじゃアねえか、私アまさか伊之さんが来ていようとは思わねえけれど、お嬢さんだってまだ若い身そらだ
丹治が怪異にった噂は何時いつの間にか知人の間にひろまった。土佐藩の有志で有名な小南こみなみ五郎右衛門は、某日あるひみちで丹治に会うとその実否じっぴをたしかめようとした。
怪人の眼 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
それゆえ、なお浜松の城下までりこみまして、ふかく実否じっぴをさぐりましたところ、その旅僧たびそう勝頼かつよりなりといって、隠密組おんみつぐみ菊池半助きくちはんすけ、京都へ追跡ついせきいたしました
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
母に心配をかけるのはなによりつらい、できることなら自分ひとりで事の実否じっぴをきわめてみたい、そうして不幸にも妹に危険なことがあるなら母にも父にも知らさずに
ああ玉杯に花うけて (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
姉は均平に実否じっぴただそうともしず、その推定を良人おっとにも話せば、三村の老母にも宣伝し、後で大笑いになったこともあったが、その時銀子たちを送って出た女中の感じもよくなかったし
縮図 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
かさねがさねのわざわいに彼はいよいよ焦燥いらだって、もう一度その実否じっぴをたしかめるために、今夜もこの寺内に忍び込んで、長次郎より一と足さきに墓場にかくれて
半七捕物帳:24 小女郎狐 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
「よし、それじゃいけるところまでいって、その実否じっぴをたしかめることにしよう」
少年連盟 (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
『桜田門か、平河口だろう。あれへ参れば、御番士へ、実否じっぴが聞ける』
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それがすなわち小幡の屋敷の近所に住んでいるKのおじさんで、おじさんは旗本の次男であった。その噂を聴くと、すぐに小幡の屋敷に押し掛けて行って、事の実否じっぴを確かめた。
半七捕物帳:01 お文の魂 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)