子息せがれ)” の例文
ところで、いいかい、なるたけ注意して、このほんにわたしのよめだ、子息せがれさいじゃない、というように姑に感じさせなけりゃならん。
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
買取かひとりるに同じく漏居もれゐければ十兵衞不審いぶかりながら立歸りしが其夜に至り子息せがれ庄左衞門逐電ちくでんせし事を始て聞知り切齒はがみを爲て怒り歎きしが夜中に書置かきおき
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
分けた実の親子、没義道もぎどうのことも云われまい。よいよい過去はとがめまい。謹しむべきは今後の事じゃ。云うまでもなく神保の子息せがれ、市之丞などと申す者の事、思い出す事さえなりませぬぞ
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
そのうちに、郁次郎も長崎表から帰るのでな。子息せがれの帰るまでに、なるべく養生所の準備もしておいてやりたいし、帰ればすぐに、花世との婚儀じゃ。イヤ、これでなかなかせわしいんじゃよ
牢獄の花嫁 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
年のころ四十ぐらいの品のいい丸髷まるまげった母親が、裁物板たちものいたを前に、あたりにはさみ、糸巻き、針箱などを散らかして、せっせと賃仕事をしていたが、障子があいて、子息せがれの顔がそこにあらわれると
田舎教師 (新字新仮名) / 田山花袋(著)
此駿河屋方へあづけ置しが十四日の夜討のことを聞き如何に本望遂ほんまうとげたるや子息せがれ庄左衞門は高名なしたるかと案事居あんじゐけるに浪士らうし泉岳寺へ引取しと聞き二本のつゑすがり大勢の見物を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)