大尉たいい)” の例文
検察隊長は、この軍艦の第一分隊長塩田大尉たいいでありました。この大事件とともに、艦長安西大佐あんざいたいさから命ぜられたものでありました。
怪塔王 (新字新仮名) / 海野十三(著)
乗組員のりくみいん艦長かんちょう勝麟太郎かつりんたろう海舟かいしゅう)ら九十六にん、ほかに日本にっぽん近海きんかい測量そくりょうにきて、なんぱしたアメリカの海軍士官かいぐんしかんブルック大尉たいいら十にんがのりました。
いな青木淳ばかりではない、青木淳の弟も、あの海軍大尉たいいも、否彼女の周囲にあつまるすべての男性を、人生の真面目まじめな行路から踏み外させているのだ。
真珠夫人 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
きいろい軍服をつけた大尉たいいらしい軍人が一人、片隅かたすみに小さくなって兵卒が二人、折革包おりかばんひざにして請負師風うけおいしふうの男が一人、掛取かけとりらしい商人あきんどが三人、女学生が二人
深川の唄 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
殿下も待兼まちかねておはすればと促されて、まだ大尉たいいになりてほどもあらじと見ゆる小林といふ少年士官、口にくわへし巻烟草まきタバコ取りて火鉢ひばちの中へ灰振り落して語りは始めぬ。
文づかひ (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
汲々乎きゅうきゅうことして勤めお互いの朋輩ほうばいにはもう大尉たいいになッたやつもいれば法学士で判事になった奴もいるのを知らん顔でうらやましいとも思わず平気で自分の職分を守っている。
郊外 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
このことばに人々はM大尉エムたいい発狂はっきょうしたのではないかと思いました。けれども自信ある態度たいどにおかすべからざる威厳いげんがありましたから、審判官しんぱんかんは、大尉たいいのねがいをききました。
国際射的大競技 (新字新仮名) / 小酒井不木(著)
まっ黒くなめらかな烏の大尉たいい、若い艦隊長もしゃんと立ったままうごきません。
烏の北斗七星 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
「マレーフスキイ伯爵はくしゃく、お医者のルーシンさん、詩人のマイダーノフさん、退職大尉たいいのニルマーツキイさん、それから軽騎兵けいきへいのベロヴゾーロフさん、この方にはもうお会いになったわね、どうぞ皆さん、仲よくなすってね」
はつ恋 (新字新仮名) / イワン・ツルゲーネフ(著)
「死人に口がないと思って、そんなことを仰しゃっては困ります。貴女を、今日訪問した客に村上と云う海軍大尉たいいがあったはずです。まさか、ないとは仰しゃいますまいね。」
真珠夫人 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
「フリッツ大尉たいいよ」
人造人間の秘密 (新字新仮名) / 海野十三(著)
昨日自分は、村上海軍大尉たいいと共に、彼女の家の庭園で、彼女の帰宅するのを待っていた。その時に、自分はふと、大尉がその軍服の腕をまくり上げて、腕時計を出して見ているのに気が附いた。
真珠夫人 (新字新仮名) / 菊池寛(著)