夕顔ゆうがお)” の例文
旧字:夕顏
夕顔ゆうがお浮舟うきふね、——そう云った自分の境界にちかい、美しい女達の不しあわせな運命の中に、少女は好んで自分を見出していた。
姨捨 (新字新仮名) / 堀辰雄(著)
夕顔ゆうがお、豆腐の寺料理も山家は山家らしく、それに香味を添えるものがあれば、それでもよい酒のさかなになった。
夜明け前:04 第二部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
谷中やなか感応寺かんおうじきたはなれて二ちょうあまり、茅葺かやぶきのきこけつささやかな住居すまいながら垣根かきねからんだ夕顔ゆうがおしろく、四五つぼばかりのにわぱいびるがままの秋草あきぐさみだれて、尾花おばなかくれた女郎花おみなえし
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
更級日記さらしなにっき』の著者は、東国の田舎いなかにいた娘の時代から文学書を読んで、どうか女に生れた上は『源氏物語』の夕顔ゆうがお浮舟うきふねのような美しい女になって少時しばらくでも光源氏ひかるげんじのようななさけある男に思われたいと
離婚について (新字新仮名) / 与謝野晶子(著)
夕顔ゆうがおもん
新書太閤記:02 第二分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
釘着くぎづけにされたように、夕顔ゆうがおしたからはなれなかった。
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)