トップ
>
呱々
>
ここ
ふりがな文庫
“
呱々
(
ここ
)” の例文
やがて、璋子は、皇太子顕仁を生んだが、
御産殿
(
おんうぶどの
)
の
几帳
(
きちょう
)
からもれた
呱々
(
ここ
)
の声にも、天皇のおんまゆには何の御表情もなかったという。
新・平家物語:02 ちげぐさの巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
金環蝕は陰の極で、
秒後
(
びょうご
)
は陽のはじめというのだから、お前は陰が極まって、陽にうつろうとするときに、
呱々
(
ここ
)
の声をあげたのだ。
親馬鹿入堂記
(新字新仮名)
/
尾崎士郎
(著)
「何かの前兆だろうと触れ歩くものがあって、人心
恟々
(
きょうきょう
)
たるところへ我輩が
呱々
(
ここ
)
の声を上げると、さしもの大噴火がその朝から静まる」
ガラマサどん
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
初めて明るみに出たその
呱々
(
ここ
)
の声を聞いたとき、人の心を撃つ
可憐
(
かれん
)
なるその小さい身体を見たとき、彼女の心はすっかり和らいだ。
ジャン・クリストフ:10 第八巻 女友達
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
文久二年四月二十四日
呱々
(
ここ
)
の声を挙げたのである。牧野の家は酒造りと雑貨店(小間物屋といっていた。東京の小間物屋とは異なっている)
牧野富太郎自叙伝:01 第一部 牧野富太郎自叙伝
(新字新仮名)
/
牧野富太郎
(著)
▼ もっと見る
映画がセルロイド工業と密接な関係において
呱々
(
ここ
)
の声を上げたということは、この芸術の将来の無限の発展性を約束しているように思われる。
文芸は進化するか、その他
(新字新仮名)
/
平林初之輔
(著)
而して他日この基礎の上に近代の沖縄を建設すべき蔡温はまだ母の胎内にも宿らなかった。蔡温は彼れの死後七年にして
呱々
(
ここ
)
の声を挙げました。
琉球史の趨勢
(新字新仮名)
/
伊波普猷
(著)
殊に自分が
呱々
(
ここ
)
の声を上げた旧宅の門前を過ぎ、その
細密
(
こまか
)
い枝振りの
一条
(
ひとすじ
)
一条にまでちゃんと見覚えのある
植込
(
うえごみ
)
の
梢
(
こずえ
)
を越して屋敷の屋根を窺い見る時
伝通院
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
われ等の生活上の科学を、次の世界を
夢想
(
むそう
)
する科学を、われ等の生命を脅かす科学を、その他いろいろな科学を土台として、科学小説はいまや
呱々
(
ここ
)
の声をあげようとしている。
『地球盗難』の作者の言葉
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
自分が
呱々
(
ここ
)
の声をあげて以来二十一年、実際初めてゞあるに関らず、恥かし乍ら自白すると、出来上つたのを声の透る我が妻に歌はせて聞いた時の感じでは、少々巧い、と思はれた。
雲は天才である
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
始じめて
呱々
(
ここ
)
の声をあげた所で、それは一七九一年九月二十二日のことであった。
ファラデーの伝:電気学の泰斗
(新字新仮名)
/
愛知敬一
(著)
やがて、銀盤を竹の
箆
(
へら
)
で摩擦する音のような、いわゆる
呱々
(
ここ
)
の声がきこえました。私は思わず、赤ん坊を見つめました。然し、生れた子には夫人の予期したような異常現象は認められませんでした。
印象
(新字新仮名)
/
小酒井不木
(著)
卯木の兄正成が、一族すべてをつれて立て
籠
(
こも
)
ったため、彼女も良人と共に籠城の
辛酸
(
しんさん
)
をなめ、清次はそこで
呱々
(
ここ
)
の声をあげたのである。
私本太平記:13 黒白帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
彼れは島津氏の琉球征伐の時犠牲になった支那思想の権化
若那
(
じゃな
)
親方
鄭迵
(
ていどう
)
の産地、久米村に
呱々
(
ここ
)
の声を挙げた者で、明の洪武年間支那思想を
齎
(
もた
)
らして沖縄に帰化したいわゆる三十六姓中の門閥
琉球史の趨勢
(新字新仮名)
/
伊波普猷
(著)
でも、父の
弥右衛門
(
やえもん
)
だの、
知己
(
しるべ
)
の人たちが、
産湯
(
うぶゆ
)
から上げて、お
襁褓
(
むつ
)
のうえへ転がしてみると、突然、
呱々
(
ここ
)
の声をあげた。
新書太閤記:01 第一分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
薩軍の包囲態勢はすでに
整
(
ととの
)
ったとみえて、着弾はかなり正確となり、今し生れた
呱々
(
ここ
)
の声する産室の附近にも、幾つか落ちて土けむりを揚げた。
日本名婦伝:谷干城夫人
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
その没年の弘長二年から数えて聖人が
呱々
(
ここ
)
の声をあげた九十年前は承安の三年。平家の終わりごろですね。さしも栄えていた平家もそろそろ終わりごろ。
親鸞聖人について
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
中国山脈の山間の一城下に、彼が
呱々
(
ここ
)
の声をあげた年は、天正十二年の三月だったといわれている。(一説に十年説や異説もあるが、二天記に従っておく)
随筆 宮本武蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
黒い戦雲の下では、あんなにも人が死んで行き、ここには、
呱々
(
ここ
)
の声が一つ新たに生れている。
私本太平記:08 新田帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
武蔵の郷土
美作
(
みまさか
)
地方にも、当然、戦波はまき起っていたし、そして「多聞院日記」の筆者同様、「いかゞ成行やらん」と暗澹としていた世間の顔の中に、彼は
呱々
(
ここ
)
を揚げていたのである。
随筆 宮本武蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
かの女のふかく垂れこめていた産屋の
几帳
(
きちょう
)
の陰から
呱々
(
ここ
)
の声があがった。
新・平家物語:02 ちげぐさの巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
呱
漢検1級
部首:⼝
9画
々
3画
“呱”で始まる語句
呱呱