吸物すいもの)” の例文
新郎の母者人が「ドウカお吸物すいものを」との挨拶あいさつが無い前に、勝手に吸物すいものわんの蓋をとって、きすのムスビは残して松蕈まつだけとミツバばかり食った。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
ようやくある家にて草鞋を買いえて勇をふるい、八時半頃野蒜のびるにつきぬ。白魚の子の吸物すいものいとうまし、海の景色もめずらし。
突貫紀行 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
従ってその反対なもの即ちすべての陰気、骨だらけの女やよろず河魚類、すし、吸物すいもの、さしみ、あらい、からした心、日本服など頗る閉口するのである。
楢重雑筆 (新字新仮名) / 小出楢重(著)
日本料理の御馳走はお膳の番をしているのだ。熱い吸物すいものを長く置いても冷めないように木のわんへ盛ってある。あれをいきなり飲んだら舌を焦爛やけどするぜ。
食道楽:秋の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
「いや、塩ッからい今し方の吸物すいものなんぞは、宋江さまのお口に合やあしませんよ。もっと美味うまいのをいいつけます」
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そこへ行くと日本の献立こんだては、吸物すいものでも、口取でも、刺身さしみでも物奇麗ものぎれいに出来る。会席膳かいせきぜんを前へ置いて、一箸ひとはしも着けずに、眺めたまま帰っても、目の保養から云えば、御茶屋へ上がった甲斐かいは充分ある。
草枕 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
吸物すいもの出来でかされし水前寺 蕉
俳句への道 (新字新仮名) / 高浜虚子(著)
それでも良人が帰えって来て食べる物がなかったら困るだろうと思って九死一生の大奮発をしてお吸物すいもののような物を拵えてみましたが実に入れるものがありません。
食道楽:冬の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
「さらば、吸物すいものを」
新書太閤記:08 第八分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
日本風の食事は吸物すいものを椀へ盛ってからしばらくゴタゴタして客の前へ持出して客もさかずきを二
食道楽:秋の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
桜飯は米一升に上等の醤油しょうゆしゃく上酒じょうしゅ八勺と水との割で炊いた御飯です。これだけでもお豆腐とうふ吸物すいものなぞを添えて食べますが外の品物を入れて具飯ぐめしにすると一層美味しくなります。
食道楽:秋の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
豆腐とうふ吸物すいもの 夏 第九十 お吸物
食道楽:冬の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
魴鮄ほうぼう吸物すいもの 夏 第九十 お吸物
食道楽:冬の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)