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古鏡
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こきよう
途すがら
前面の
崖の
処々に
躑躅の残り、山藤の懸れるが、
甚だ興有りと目留まれば、又この
辺殊に
谿浅く、水澄みて、大いなる
古鏡の沈める如く、深く
蔽へる
岸樹は陰々として眠るに似たり。
町子は
醉ごゝち
夢のごとく
頭をかへして
背後を
見るに、
雲間の
月のほの
明るく、
社前の
鈴のふりたるさま、
紅白の
綱ながく
垂れて
古鏡の
光り
神さびたるもみゆ、
夜あらしさつと
喜連格子に
音づるれば