古鏡こきよう)” の例文
みちすがら前面むかひがけ処々ところどころ躑躅つつじの残り、山藤の懸れるが、はなはだ興有りと目留まれば、又このあたりこと谿浅たにあさく、水澄みて、大いなる古鏡こきようの沈める如く、深くおほへる岸樹がんじゆは陰々として眠るに似たり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
町子まちこよいごゝちゆめのごとくあたまをかへして背後うしろるに、雲間くもまつきのほのあかるく、社前しやぜんすゞのふりたるさま、紅白こうはくつなながくれて古鏡こきようひかかみさびたるもみゆ、あらしさつと喜連格子きつれがうしおとづるれば
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)