取遣とりや)” の例文
わたくしは兄弟と云う者がない身の上でございますゆえ、今年からおそなえ取遣とりやりを致します、明日みょうにちあたり餅搗もちつきを致しますから、すぐにお供をお届け申しますが、うぞ幾久しく御交際を願います
文七元結 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
四海波静かにて、波も動かぬ時津風、枝を鳴らさぬ御代みよなれや、と勿体ない、祝言の小謡こうたいを、聞噛ききかじりにうたう下から、勝負!とそれ、おあし取遣とりやり。板子の下が地獄なら、上も修羅道しゅらどうでござります。
草迷宮 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
ですから、自分では余り戦争なんて下らないことはしないで、他の悪魔が一生懸命に生命いのち取遣とりやりをしてゐるのに、おしりをそこにドツカとゑ込み、煙草なんか吹かして、たゞ見てゐるだけでした。
悪魔の尾 (新字旧仮名) / 宮原晃一郎(著)
此の世の中の手形同様に取遣とりやりをするだけの物とかんげえます、金だって銀だって人間程大切たいせつな物でなえから、おかみでも人間を殺せば又其の人を殺す、それでもお助けてえと思う心があるので
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
という是れが決闘状はたしじょう取遣とりやりでございますが、むこうは盗賊の同類が多人数たにんず居りますから、其等それらが取巻いて飛道具でも向けられゝば其れり、左もない所が相手も粥河圖書だからおめ/\とも討たれまい