しゅっ)” の例文
「此席は機密な軍議の場である。信玄公しゅっするの時、武田家の軍機は我等四人内密に行うべきを遺言された。この大事の席に何事だ」
長篠合戦 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
ウイルレム第一世は安永元年壬辰じんしんに生れ、文化十二年乙亥いつがいに王位に封ぜられ、天保十一年庚子こうし今王に位を譲り、同十四年癸卯きぼうしゅっす。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
谷氏こくしの史に、建文帝、生れて十年にして懿文いぶんしゅっすとあるは、けだ脱字だつじにして、父君に別れ、儲位ちょいに立ちたまえる時は、まさしく十六歳におわしける。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
続いて霊公の子・太子蒯聵かいがいも義母南子をそうとして失敗し晋にはしる。太子欠位の中に霊公がしゅっする。やむをえず亡命太子の子の幼いちょうを立てて後をがせる。出公しゅつこうがこれである。
弟子 (新字新仮名) / 中島敦(著)
菅公が筑紫の配所でこうじたのは延喜三年二月二十五日であるが、同六年の七月二日には、時平と共に菅公讒奏ざんそうの謀議に加わった右大将大納言定国が四十一歳を以てしゅっし、同八年十月七日には
少将滋幹の母 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)