十勝岳とかちだけ)” の例文
初めは慰み半分に手をつけて見た雪の研究も、段々と深入りして、かぞえて見ればもう十勝岳とかちだけへは五回も出かけて行ったことになる。
下富良野しもふらので青い十勝岳とかちだけを仰ぐ。汽車はいよいよ夕張と背合はせの山路に入つて、空知川そらちがはの上流を水に添うてさかのぼる。砂白く、水は玉よりも緑である。
熊の足跡 (旧字旧仮名) / 徳冨蘆花(著)
十勝岳とかちだけ近頃ちかごろまで死火山しかざんかんがへられてゐた火山かざんひとつであるが、大正十五年たいしようじゆうごねん突然とつぜん噴火ふんかをなし、雪融ゆきどけのため氾濫はんらんおこし、山麓さんろく村落そんらく生靈せいれい流亡りゆうばうせしめたことは
火山の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
田や畑の其処そこ此処ここけ残りの黒い木のかぶが立って居るのを見ると、ひらけ行く北海道にまだ死に切れぬアイヌの悲哀かなしみが身にしみる様だ。下富良野しもふらので青い十勝岳とかちだけを仰ぐ。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
右手に十勝岳とかちだけが安すッぽいペンキ画の富士山のように、青空にクッキリ見えた。
人を殺す犬 (新字新仮名) / 小林多喜二(著)
それは十勝岳とかちだけの中腹に山林監視人のためにヒュッテが出来ているのであるが、それを借りて皆で出かけて、雪の降る日は結晶の写真を撮り
雪雑記 (新字新仮名) / 中谷宇吉郎(著)
北海道ほつかいどうには本島ほんとうだけでも駒ヶ岳こまがたけたか千百四十米せんひやくしじゆうめーとる)、十勝岳とかちだけたか二千七十七米にせんしちじゆうしちめーとる)、有珠山うすさんたか七百二十五米しちひやくにじゆうごめーとる)、樽前山たるまへさんたか一千二十三米いつせんにじゆうさんめーとる)の活火山かつかざんがあつて
火山の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
それには実験室内での失敗ということ以外に、その頃から行き始めた十勝岳とかちだけでの体験も原因するのである。
雪を作る話 (新字新仮名) / 中谷宇吉郎(著)
次の冬の正月休みの前になってうまいことを思いついた。それは十勝岳とかちだけの中腹三千五百尺のところにある、山林監視人のために出来ているヒュッテの白銀荘というのを借りることである。
(新字新仮名) / 中谷宇吉郎(著)