勿体もってえ)” の例文
旧字:勿體
喜「対岸むこうくぐらいは知ってるだが、一人で往くのも勿体もってえねえと思って人の来るのを待っていた処だ、丁度いからお乗んなせえな」
「神様や仏様は勿体もってえねえ、せめて八丁堀の旦那衆が見て、良い御用聞だとなるには、何か秘伝のようなものがありゃしませんか」
ウッカリ顎叩くと飛んでも無え間違まちげえになるぞ、後で、吠えづらかかねエ様にしろ、大事でえじに使やア一生ある生命だア、勿体もってえなくするな
監獄部屋 (新字新仮名) / 羽志主水(著)
喰いたくもねえものを勿体もってえねえ、お附合いに買うにゃ当りやせん、食もたれのおくびなんぞで、せせり箸をされた日にゃ、第一うおが可哀相だ。
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
そうさ、このわるを今日まで、ともかくもこうして生かして置いて下さったのは、神仏のお恵みか、人間の徳か、考えてみりゃ勿体もってえねえわけのものだねえ。
大菩薩峠:38 農奴の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
「そんな勿体もってえねえことが、わっしからあんたさまに言えますか、旦那さま?」というのがその返事であった。「だが、それでようごぜえます、アーメン!」
「なんだと? お神酒だと? 酒なら俺が召し上がってやる。狐になんぞ、勿体もってえねえこった。」
或る部落の五つの話 (新字新仮名) / 佐左木俊郎(著)
「待て待て。片づける前に一ツ宣告をしてやろうじゃねえか。あんまり勿体もってえねえから」
支那米の袋 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
が、只じゃあ勿体もってえねえ。いくらかよこせ、え、いくらか
神州纐纈城 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
殊に貴方だ、誰だと思ってるんだ、おことばの一ツも懸けられりゃ勿体もってえねえと心得るが可い位の扱いで、結構でがす。
黒百合 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
神様ほとけ様がえなんというやつがあるものか、お天道様や水は誰がめぐんでくれたんだ、人間が神様をまつるのは、勿体もってえねえという心の現われなんだ
大菩薩峠:23 他生の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
森「戴きやす、御新造ごしんぞのお酌で酒を飲むなんて勿体もってえねえことです、えーどうも旨いねえ」
業平文治漂流奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
「ええ何をする勿体もってえねえ」
三甚内 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
「有難うございます、そりゃ、勿体もってえねえことでございます、郁坊や……ではこのお菓子を頂戴しな」
大菩薩峠:33 不破の関の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
ほんによ、お前がそんねえな腰抜たあ知らねえから、勿体もってえねえ、隊長様までが、ああ、可哀想だ、その女の父親とか眼を懸けてつかはせとおつしやらあ、恐しい冥伽みょうがだぜ。
海城発電 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
森「勿体もってえねえ/\、旦那の褒めたのはおめえさんばかりだ、これはしようじゃアねえか」
業平文治漂流奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
ほんによ、お前がそんねえな腰抜たあ知らねえから、勿体もってえねえ、隊長様までが、ああ、可哀想だ、そのむすめの父親とか眼を懸けてつかわせとおっしゃらあ、恐しい冥伽みょうがだぜ。
海城発電 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「えっ無罪、え、も勿体もってえねえ、旦那様お有難う存じます、天道様てんとうさまは正直だなア」
後の業平文治 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
彦「何をするんです、勿体もってえねえや、ムニャ/\/\持って来たってなんでえ」
業平文治漂流奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
仙「誠にどうも勿体もってえねえ話でごぜえます」