勾当こうとう)” の例文
旧字:勾當
ただ、ここでも考えさせられることは、新田義貞における勾当こうとう内侍ないしのように、高貞も宮中の女子を恩賞にもらっていたことである。
私本太平記:13 黒白帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
青竹づえはあんまの小僧、丸樫杖は一枚上がって座頭、片撞木かたしゅもくはさらに上がって勾当こうとう両撞木りょうしゅもく撿校けんぎょうと、格によって持ちづえが違っているんだ。
前掲ぜんけいの萩の茶屋に住んでいる老婦人というのは鴫沢しぎさわてるといい生田いくた流の勾当こうとうで晩年の春琴と温井検校に親しく仕えた人であるがこの勾当の話を聞くに
春琴抄 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
韓蘇紫兼かんそしけんの筆恐くは田夫野老の舌に及ばざらん、又他の一例を引んに、後醍醐天皇新田義貞に勾当こうとうの内侍を賜わる、義貞歓喜よろこびの余り「さればねとのおおせかや」
松の操美人の生埋:01 序 (新字新仮名) / 宇田川文海(著)
山本勾当こうとうの三絃に合わせて美声自慢のお品女郎が流行はやりの小唄を一くさり唄った。新年にちなんだめでたい唄だ。
三甚内 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
葛原勾当こうとう日記を、私に知らせてくれた人は、劇作家伊馬鵜平君である。堂々七百頁ちかくの大冊である。
盲人独笑 (新字新仮名) / 太宰治(著)
四階とは検校けんぎょう別当べっとう勾当こうとう座頭ざとう、十六官とは座頭に四度の階級があり、勾当、別当、検校それぞれ次第があって、都合十六に分れていることを言い、七十三刻とは、半打掛から中老引ちゅうろうびきまで六十七刻
そして、座頭以上、勾当こうとう、別当、検校けんぎょうなどの六、七十名だけが残って、しばらくは等持院の内で、茶と点心てんしんきょうをうけていた。
私本太平記:13 黒白帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
撿挍、別当、勾当こうとう、座頭の四官があり、これらの四官が又十六の階級に分れていた。
聞書抄:第二盲目物語 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
むろんのことにご存じでござりましょうが、小僧は青竹、座頭は丸樫まるがし勾当こうとう片撞木かたしゅもく撿校けんぎょう両撞木りょうしゅもくとつえで位が違いますんで、目あきだろうとあんまなら位看板に格式格式のつえを持つんですよ。
さきに勾当こうとう内侍ないしのことを書いたがあらかた私の創作である。義貞がぎゃくを病んだのは事実だが、従来、内侍を賜う、という話は否定説の方が多い。
随筆 私本太平記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
勾当こうとうと云う位は持っておりましてもそれは名ばかりでござりまして、もとより長年みがきをかけました藝ではなく、お耻かしいわざに過ぎませぬのに、どうしてお気に召しましたのやら。
聞書抄:第二盲目物語 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
勾当こうとう座頭ざとうの四階位から十六階位までの瞽官こかん制度のゆるしを得、瞽官の授与やその他で上がる金で、全盲人のうえに希望と保護をもたらした人でもある。
随筆 私本太平記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
順慶の藪原勾当こうとうは如何にしたかと云うのに、彼は七月八日の夜、秀次が聚楽を出た後でその公達や妻妾たちが徳永式部卿法印のやかたへ移されるのを見届けてから、伏見にある舊主の邸の門をたゝいて
聞書抄:第二盲目物語 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
ほかの座頭や別当や勾当こうとうたちは、そう聞くと、客の四人を急に内へしょうじて、覚一のすぐまえに席をあけた。
私本太平記:13 黒白帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
勾当こうとうノ内侍は「はい」と胸でいってみたが、耳を澄ましたのみなのである。
私本太平記:11 筑紫帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
が、その原因は、勾当こうとう内侍ないしの色香でなく、円心の詭計きけいでもない。一に彼の尊氏観が甘かったところに起因し、尊氏が打ッて逃げた“退きの布石ふせき”を読み違えていたことに重大な錯誤さくごがある。
私本太平記:11 筑紫帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「……あたらこのを、勾当こうとう内侍ないしの色におぼれ給うて」
私本太平記:11 筑紫帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
勾当こうとう内侍ないし
私本太平記:10 風花帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
勾当こうとう内侍ないし
私本太平記:10 風花帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)