勢至せいし)” の例文
壁画西大壁の脇立わきだ勢至せいしが、きわめて人間的な同時にきわめて人間を離れた印象を与えるのはこのゆえでなくてはならない。
日本精神史研究 (新字新仮名) / 和辻哲郎(著)
結跏趺坐した阿弥陀如来の豊かに流麗な像や、脇侍きょうじたる観音勢至せいし両菩薩の、本尊に調和せんとする優婉ゆうえんな腕と胴体の動きなどは、薬師三尊に酷似している。
大和古寺風物誌 (新字新仮名) / 亀井勝一郎(著)
地蔵、観音、勢至せいし文殊もんじゅ普賢ふげん虚空蔵こくぞうなどある。それから天部てんぶという。これは梵天ぼんてん帝釈たいしゃく、弁天、吉祥天きっしょうてん等。次は怒り物といって忿怒の形相をした五大尊、四天、十二神将じんしょうの如き仏体をいう。
釈迦しゃか文殊もんじゅ普賢ふげん勢至せいし観音かんおん御像おすがたはありがたいわけではありませんか。
春昼 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
須弥壇は四座しざあって、壇上には弥陀みだ観音かんおん勢至せいし三尊さんぞん二天にてん六地蔵ろくじぞうが安置され、壇の中は、真中に清衡きよひら、左に基衡もとひら、右に秀衡ひでひらかんが納まり、ここに、各一口ひとふりつるぎいだき、鎮守府将軍ちんじゅふしょうぐんいんを帯び
七宝の柱 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
しかし童子や観音かんのん勢至せいしなどの乗っている雲は、型に堕しかけた線でかなり固く描かれている。二十五菩薩来迎図らいごうずの雲のようにひどくはないが、しかしその方向に進みかけているという感じがする。
古寺巡礼 (新字新仮名) / 和辻哲郎(著)
釈迦しゃか文殊もんじゅ普賢ふげん勢至せいし観音かんおん、皆、名があるではありませんか。
春昼 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)