刎退はねの)” の例文
三度そっしおをはねたが、またちょこちょこと取って返して、かしら刎退はねのけ、衣類きものを脱いで、丸裸になって一文字に飛込とびこんだ。
春昼後刻 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
沖田総司おきたそうじは、枕元の刀を掴み、夜具を刎退はねのけ、やまいで衰弱しきっている体を立上らせ、縁へ出、雨戸をそっと開けて見た。
甲州鎮撫隊 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
其跫音そのあしおとを聞くと、敵も流石さすが狼狽うろたえたらしく、力の限りに七兵衛を突退つきの刎退はねのけて、あなたの森へ逃げ込んでしまった。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
また薙刀なぎなたをつかうと同じように使って、敵を左右へ刎退はねのけ、突きのけることもできます。面と、腕と、膝との三段を、透間すきまもなく責め立てて敵を悩ますこともできます。
大菩薩峠:20 禹門三級の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
次第びくに、耐力たわいなく根を抜いて、すっと掻巻かいまきの上へ倒れたらしい心地がすると、ひしひしと重量おもみかかって、うむ、とされた同然に、息苦しくなったので、急いで、刎退はねのけにかかると
沼夫人 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
竜之助が外へ出ると共に、むっくりと蒲団を刎退はねのけたのが米友であります。
大菩薩峠:17 黒業白業の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)