出來でけ)” の例文
新字:出来
あのやうな面皰だらけの野猿坊やゑんばうみたいなもんでも、近頃情人をとこ出來でけてあつたさうで、そやつに唆かされて惡心がきざしたものと見えます。
大阪の宿 (旧字旧仮名) / 水上滝太郎(著)
わしだんずることも出來でけうずれ、このやうに頭髮かみのけ掻毟かきむしって、ま此樣このやう地上ぢびたたふれて、まだらぬ墓穴はかあなしゃくることも出來でけうずれ!
あなな田圃でも手離して見るとすぐさまあとから未練が出來でけてなあ。自分から離しておいて阿呆らしいやうな話ぢやが。
続生活の探求 (旧字旧仮名) / 島木健作(著)
ロレ はれ、それは物怪もっけ不運ふうんの! 眞實しんじつ重大ぢゅうだい容易ようゐならぬ用向ようむきその書面しょめん、それが等閑なほざりになったうへは、どのやうな一大事だいじ出來でけうもれぬ。
ところで底が深くなるつてことは、底と、側を固めとる石との間に、それだけ隙間が出來でけるといふことぢやらう。側を支へとるものは底ぢやけにな。
生活の探求 (旧字旧仮名) / 島木健作(著)
「あの人、前から束髮にしい度い云ふてゐたのですが、櫛が無いのんで、よう結ぶ事出來でけへんのでした、そこがそのなあ、お米さんのとりもちで、あの櫛ひとつで野呂さんとひと晩仲ようしやはりましてん。」
大阪の宿 (旧字旧仮名) / 水上滝太郎(著)
したがいよいよ投げ出さうとなるとやつぱし未練が出來でけて……あなな田圃ぢやからとて、全く作らんとなりややつぱし困ることになるんぢやからして。
続生活の探求 (旧字旧仮名) / 島木健作(著)
ロミオ かんじておゐやらぬことを、なんだんずることが出來でけう。
「まあま、あんさんもよう出來でけたお方ですなあ。」
大阪の宿 (旧字旧仮名) / 水上滝太郎(著)
そりや、植附けだけをすまさうと云ふんぢやつたら、今あるだけの水で全部の田植だけはどうにかかうにか出來でける。
生活の探求 (旧字旧仮名) / 島木健作(著)
第一、醫者はみんなこちとらには出來でけんことばかり云ふで、どもならん。やれ仕事をやめて温泉さ行けとやら、電氣をかけに毎日半年がほども通へとやら。
続生活の探求 (旧字旧仮名) / 島木健作(著)