公爵こうしゃく)” の例文
大臣や総裁や公爵こうしゃくなどの挨拶あいさつを受けて、有頂天にまで行った心持が、生若い男女のために地の底へまで引きずり込まれたのだ。
真珠夫人 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
旅行中の、ある若い公爵こうしゃくが、奥方おくがたといっしょに、ちょうどこの町を通りかかって、きょうの芝居を見物にきていました。
僕の机の上には、マダム・ド・ラファイエットの「クレエヴ公爵こうしゃく夫人」が読みかけのまんまページをひらいています。
美しい村 (新字新仮名) / 堀辰雄(著)
此時このとき領主りゃうしゅ公爵こうしゃく多勢おほぜい從者じゅうしゃ引連ひきつれて出る。モンタギュー長者夫婦ちゃうじゃふうふ、カピューレット長者夫婦ちゃうじゃふうふ其他そのた多勢おほぜい出る。
公爵こうしゃくの旧領地とばかり、詳細くわしい事は言われない、侯伯子男の新華族を沢山出しただけに、同じく維新の風雲に会しながらも妙なはずみから雲梯うんていをすべり落ちて
富岡先生 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
うちへ来ると、彼女はたちまち、令嬢れいじょう——つまり公爵こうしゃく令嬢に、早変りしてしまうし、こっちでも彼女を敬遠していた。わたしは、母に見破られるのがこわかったのだ。
はつ恋 (新字新仮名) / イワン・ツルゲーネフ(著)
ローマで、一八——年の謝肉祭カーニバルのあいだ、私はナポリの公爵こうしゃくディ・ブロリオの邸宅における仮面舞踏会に出席した。私はその日いつもよりももっとひどく酒を過していた。
とびらのまえでは兵隊へいたいたちが行進こうしんして、ラッパをふいたり、大だいこや小だいこをうちならしていました。お城のなかでは、男爵だんしゃく伯爵はくしゃく公爵こうしゃくが、家来けらいとしていったりきたりしていました。
しかもこの同じ宿屋だったかもしれないが、のちに何万という軍勢ぐんぜいひきいる大将たいしょうがここで生まれたのだ。はじめはうまやのこぞうから身を起こして、公爵こうしゃくがなり、のちには王さまになった。
舞踏会ぶとうかい衣裳いしょうをつけた若いむすめや、宴会服えんかいふくを着て楽しそうにしている公爵こうしゃくの若い花嫁はなよめを見たこともあります。
デザートコースになってから、貴族院議長のT公爵こうしゃくが立ち上った。公爵は、貴族院の議場の名物である、その荘重な態度を、いつもよりも、もっと荘重にして云った。
真珠夫人 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
そのまえには、ちょうどおなじ数だけの公爵こうしゃく伯爵はくしゃくが立っていました。
領主りゃうしゅ公爵こうしゃくエスカラス、從者じゅうしゃ多勢おほぜい引連ひきつれてる。
公爵こうしゃくを筆頭に多くの華族連中も、海軍や陸軍の将官達も、銀行や会社の重役達も、学者や宗教家や、角力すもうや俳優達も、自分の持っている金力の価値だけは認めて呉れる人だと思っていた。
真珠夫人 (新字新仮名) / 菊池寛(著)