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何物
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なんに
ふりがな文庫
“
何物
(
なんに
)” の例文
他の二人も心得て、何処を
的
(
あて
)
ともなしにドンドン鉄砲を撃つこと二三発、それから再び釜を覗いて見るとモウ
何物
(
なんに
)
も見えない。
木曽の怪物:――「日本妖怪実譚」より
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
「いえ、
串戯
(
じょうだん
)
じゃ有りませんよ、真実に見えないんですよ……洋燈の側なら何でも能く分りますが、すこし離れると最早
何物
(
なんに
)
も分りません」
芽生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
『今直ぐ、
何物
(
なんに
)
も無いんですけど
晩餐
(
ごはん
)
を差上げてから始めるんですつて。私これから、清子さんと神山さんをお誘ひして行かなけやならないの、一緒に行つて下すつて? 済まないけど。』
鳥影
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
「春子さん、
何物
(
なんに
)
も無いじアありませんか。」
恋を恋する人
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
「お
昼飯
(
ひる
)
に、お
粥
(
かゆ
)
をホンのぽっちり——牛乳は
厭
(
いや
)
だって飲みませんし——
真実
(
ほんと
)
に、
何物
(
なんに
)
も食べたがらないのが一番心配です」
家:02 (下)
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
▼ もっと見る
ハテ
可怪
(
おかし
)
な事をいうと思いながら、指さす方を見あげたが、私の眼には
何物
(
なんに
)
も見えない。
木曽の怪物:――「日本妖怪実譚」より
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
「今日は旦那も骨休めだと
仰
(
おっしゃ
)
るし、三吉も来ているし、
何物
(
なんに
)
も無いが河魚で一杯出すで、お前もそこで
御相伴
(
ごしょうばん
)
しよや」
家:01 (上)
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
「
先刻
(
さっき
)
から何時間ここに坐っておりましょう。もう薄暗くなりました——わたしはもう
何物
(
なんに
)
も
要
(
い
)
りません、どうぞ最後の日まで愛させて下さい……」
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
「ハイ、見にやりませう。生憎只今は
何物
(
なんに
)
も
御座
(
ござい
)
ません時でして——野菜も御座ませんし、河魚も捕れませんし。」
伊豆の旅
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
「
何物
(
なんに
)
も君には置いて行くようなものが無いが、その
鍬
(
くわ
)
を
進
(
あ
)
げようと思って、とっといた」と三吉は自分が
使用
(
つか
)
った鍬の置いてある方を指して見せた。
家:01 (上)
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
「
何物
(
なんに
)
も叔父さんから祝つて遣る物が無い。これをお前に祝ふとしよう。いろいろ子供も御世話に成りました。」
出発
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
「東京へ土産にするやうなものは
何物
(
なんに
)
も無かつた。」と言つて、その繪葉書を見せた。中に大島の風俗があつた。
伊豆の旅
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
「そいつは好いものをくれるナ」と民助も
悦
(
よろこ
)
んだ。「お母さんのものは
何物
(
なんに
)
も最早
俺
(
おれ
)
のところには残っていない」
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
「叔父さんの部屋には
何物
(
なんに
)
も無い——病人に舞込まれても掛けてやる毛布も無い。ここはまるで俺の
庵
(
いおり
)
だ」
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
「あれも要らない、これも要らない、お前さんは
何物
(
なんに
)
も要らないんだねえ——まあ、この洋服はこうして
蔵
(
しま
)
って置こう——今に弘でも大きく成ったら、着せるだ」
桜の実の熟する時
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
そして、お雪の心を読もうとするような眼付をして、
猶
(
なお
)
よく見た。
何物
(
なんに
)
も変ったものが蝋燭の光に映らなかった……深い眠はお雪の身体を支配しているらしかった。
家:02 (下)
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
正太には
生命
(
いのち
)
がくれてある、
何物
(
なんに
)
も幸作にはそんなものがくれて無い、そう神経質な眼で養子や嫁を見るべきものでもあるまい、欠点を言えば正太の方にも有るではないか
家:02 (下)
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
「私はあんまり人が
好過
(
よす
)
ぎるなんて言はれますから……今度は
何物
(
なんに
)
も置いて行きません。」
出発
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
「こんな田舎じゃ
何物
(
なんに
)
も
進
(
あ
)
げるようなものが無い。
罐詰
(
かんづめ
)
でも買いにやろうか」
家:01 (上)
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
何から何まで
御生家
(
おさと
)
の方へ御送りしたんですもの……
何物
(
なんに
)
も置かない方が好いなんと
仰
(
おっしゃ
)
って……そりゃ、旦那様、
御寝衣
(
おねまき
)
まで後で私が御洗濯しまして、御蒲団やなんかと一緒に御送りいたしました
刺繍
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
「ホ。
何物
(
なんに
)
もくれなくても
可
(
い
)
いんだ」
桜の実の熟する時
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
何
常用漢字
小2
部首:⼈
7画
物
常用漢字
小3
部首:⽜
8画
“何物”で始まる語句
何物か