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仕上
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しあが
藁の
小さな
極つた
束が一
把は
大抵一
錢づゝであつた。
其の一
把の
藁が
繩にすれば二
房半位で、
草鞋にすれば五
足は
仕上るのであつた。
然れば、
言ふ
通りに
仕上つて、
其処で
其の
木像が
動くかな、
目を
働かすかな、
指す
手は
伸び、
引く
手は
曲るか、
足は
何うじや、
歩行くかな。
絵は無論
仕上つてゐないものだらう。けれども
何処も
彼所も万遍なく絵の具が
塗つてあるから、
素人の三四郎が見ると、中々立派である。
旨いか
無味いか無論
分らない。
それにしてはよう
爰まで
仕上ったものじゃ。