人相見にんさうみ)” の例文
北八きたはち大丈夫だいぢやうぶだ、と立直たちなほつて悠然いうぜんとなる。此邊このあたりぢんまりとしたる商賣あきなひやのきならび、しもたやとるは、産婆さんば人相見にんさうみ、お手紙てがみしたゝめどころなり。
弥次行 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
旅行用の枕を大負けに負けて売つてるもののとなりに、不思議にあた人相見にんさうみの洋服の男がゐて、その周囲を取巻いて、人が黒山のやうにたかつてる。をり/\摩違すれちがふ娘の顔は白かつた。
父の墓 (新字旧仮名) / 田山花袋(著)
してまたふねかへれば生命いのちおとさうかとふ、心配しんぱいかな。いやつまらぬ心配しんぱいぢや。おまへさんはなにか(人相見にんさうみ)に、水難すゐなんさうがあるとでもはれたことがありますかい。まづ/\きなさい。
旅僧 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)