亡霊ぼうれい)” の例文
亡霊ぼうれいのようなはかなさで、あなたはまた誰にかののしられたのか、両掌りょうてで顔をおおい、泣きじゃくりながら近づいて来るのです。
オリンポスの果実 (新字新仮名) / 田中英光(著)
「いつか行方ゆくえのわからなくなった、三にん亡霊ぼうれいであろう。」と、みんなは、こころでべつべつにおもいました。
黒い人と赤いそり (新字新仮名) / 小川未明(著)
「菜摘川のほとりにて、いずくともなく女のきたそうらいて、———」と、謡曲ではそこへ静の亡霊ぼうれいが現じて、「あまりに罪業ざいごうのほど悲しく候えば、一日経書いてたまわれ」
吉野葛 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
経済市況で亡霊ぼうれいを払いのけることができるものですか。このラジオは勝手に鳴っているんです。
人造人間事件 (新字新仮名) / 海野十三(著)
十五六世紀の西洋の甲冑かっちゅうけた士卒が出て、鎌倉武士かまくらぶしせりふを使う。亡霊ぼうれいの出になる。やがて丁抹でんまるく王城おうじょうの場になる。道具立どうぐだてさびしいが、国王は眼がぎろりとして、如何にも悪党あくとうらしい。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
敬白願書奉納鹿島大明神宝前ほうぜん、右心ざしのおもむきは、それがし土子泥之助兵法の師諸岡一羽亡霊ぼうれいは敵討ちの弟子あり、うんぬん……千に一つ負くるにおいては、生きて当社に帰参し
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
海底に沈んだアトランティス大陸の亡霊ぼうれいが、いまルゾン号の下にうごめいているらしいのだ。
海底大陸 (新字新仮名) / 海野十三(著)
呪文の最後のことばが、高らかに聖者の口から唱えられ、そのために、この部屋全体が異様な響をたて、それに和して、何百人何千人とも知れない亡霊ぼうれいの祈りの声が聞えたように思った。
霊魂第十号の秘密 (新字新仮名) / 海野十三(著)
かの青年は、亡霊ぼうれいの如くすり足をして、聖者の席に近づきつつあった。
霊魂第十号の秘密 (新字新仮名) / 海野十三(著)