二列ふたならび)” の例文
転づるは French か、角ぐみそめし桜の二列ふたならびの並木の間の人道を、枯草の辺りを青くして低きかなめ垣の長きこみちに添ひて、ハリエニシダの花黄なる彼方へとぞゆく。
春の暗示 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
横町よこちやうみち兩側りやうがはは、ひとと、兩側りやうがは二列ふたならびひとのたゝずまひである。わたしたちより、もつとちかいのがさきんじて町内ちやうない避難ひなんしたので、……みな茫然ばうぜんとしてる。
露宿 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
圧潰おしつぶした様に二列ふたならびに列んだ茅葺の屋根、其処からは鶏の声が間を置いて聞えて来る。
赤痢 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
たとしへもなく靜かなるゆふべの空に二列ふたならび
海潮音 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
たとしへもなく静かなるゆふべの空に二列ふたならび
海潮音 (新字旧仮名) / 上田敏(著)
天主てんしゆより。——闇澹あんたんとして二列ふたならび
邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)