下駄屋げたや)” の例文
すぐまへの、はちものの草花屋くさばなや綿屋わたやつゞいて下駄屋げたやまへから、小兒こども四五人しごにんばら/\とつて取卷とりまいたときそでおとすやうに涼傘ひがさをはづして
番茶話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
帳場格子ちょうばごうしからながめた向かいの下駄屋げたやさんもどうなったか、今三越みつこしのすぐ隣にあるのがそれかどうか自分にはわからない。
銀座アルプス (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
主翁は合点がてんがいかなかった。主翁は眼をはっきり開けて四辺あたりを見まわした。枕頭まくらもとには心安い隣家の下駄屋げたやの主翁や、荒物屋あらものやの主翁などが二三人坐っていた。
黄灯 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
下は大門通りに店をもっている母屋おもや下駄屋げたやと共通の台所が、板壁一枚で仕切られ、四畳半の上がり口と台所の間にある廊下に狭い段梯子だんばしごがその四畳半のうしろで曲がっており
縮図 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
その一軒置いて隣にまかなの國藏という者、今は堅気かたぎ下駄屋げたやをして居ります。
業平文治漂流奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
僕等は無慙むざんにもひろげられたみちを向う両国りやうごくへ引き返しながら、偶然「たいちやん」のうちの前を通りかかつた。「泰ちやん」は下駄屋げたや息子むすこである。僕は僕の小学時代にも作文は多少上手じやうずだつた。
本所両国 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
私は、まずしい下駄屋げたやの、それも一人娘でございます。
灯籠 (新字新仮名) / 太宰治(著)
「吉を下駄屋げたやにさそう。」
笑われた子 (新字新仮名) / 横光利一(著)
下駄屋げたや
耽溺 (新字新仮名) / 岩野泡鳴(著)