ちゃん)” の例文
刀や馬具なども買込んで、いざと言えば何時でも出発が出来るようにちゃんと準備が整えている。ところが秋山大尉は留守と来た。
(新字新仮名) / 徳田秋声(著)
そして——たしかあずかる、決して迂散うさんなものでない——と云つて、ちゃんと、衣兜かくしから名刺を出してくれました。奥様は、面白いね——とおつしやいました。
紅玉 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
あアお午後ひるからぶらぶらと向を出て八時なら八時に数寄屋橋までけろと云や、ちゃんと其時間にへえったんでさ。……ああ、面白えこともあった。苦しいこともあった。
(新字新仮名) / 徳田秋声(著)
貴下あなたのようなかた出入ではいりは、今朝けさッからお一人しかありませんもの。ちゃんと存じておりますよ。
春昼後刻 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
私に心覚こころおぼえちゃんとある。先ずおよそ山の中を二日も三日も歩行あるかなけれゃならないですな。
薬草取 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
見れア忰の位牌をちゃんと床の間に飾ってお膳がすえてあると云う訳なんだ。
(新字新仮名) / 徳田秋声(著)