トップ
>
一荷
>
いっか
ふりがな文庫
“
一荷
(
いっか
)” の例文
紅き
石竹
(
せきちく
)
や紫の
桔梗
(
ききょう
)
を
一荷
(
いっか
)
に
担
(
かた
)
げて売に来る、
花売
(
はなうり
)
爺
(
おやじ
)
の笠の
檐
(
のき
)
に
旭日
(
あさひ
)
の光かがやきて、乾きもあえぬ花の露
鮮
(
あざ
)
やかに見らるるも嬉し。
銀座の朝
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
新妻が、身と共に、そこへ持って行った荷物といえば、
一荷
(
いっか
)
の衣裳と、髪道具と、そして、
一輛
(
いちりょう
)
の
輦
(
くるま
)
だけであった。
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
御経の文句を
浪花節
(
なにわぶし
)
に
唄
(
うた
)
って、金盥の
潰
(
つぶ
)
れるほどに音楽を入れて、
一荷
(
いっか
)
の水と同じように
棺桶
(
かんおけ
)
をぶらつかせて——最後に、半死半生の病人を、無理矢理に引き摺り起して
坑夫
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
その跡を追うて料理番の女が、プラム・ケエクを
一荷
(
いっか
)
抱えながら続いた。
トニオ・クレエゲル
(新字新仮名)
/
パウル・トーマス・マン
(著)
そうして毎日朝だけ来て水を汲み、
薪
(
まき
)
を
採
(
と
)
って
一荷
(
いっか
)
ずつ持ってくる。この状態が時としては三年も続くことがあったと聴いている。すなわち朝々の水と薪以外は、
里方
(
さとかた
)
の用をしていたのである。
木綿以前の事
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
▼ もっと見る
母は毎日、大きな
笊
(
ざる
)
を、
天秤棒
(
てんびんぼう
)
で
担
(
にな
)
って、二十三連隊の営内に、残飯を
担
(
にな
)
いに行った。毎日兵士が
喰
(
く
)
いあました飯や、釜の底に
焦
(
こが
)
れついた飯や、残りの汁なんかを、
一荷
(
いっか
)
幾らで入札して買って来た。
戦争雑記
(新字新仮名)
/
徳永直
(著)
「一桶二十五
尾
(
ひき
)
で
一荷
(
いっか
)
五十尾一日五荷は運べると言っていましたよ。五荷というと五々二百五十尾、大変な儲けですな。しかし二人がかりだし、死ぬのも余程あるだろうし、汽車賃も往復五回で……」
ぐうたら道中記
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
おお!
一献
(
いっこん
)
の酒も、
一荷
(
いっか
)
の祝いもないと、嘆いてくれるな。わしはどうしても、ここで、そなた達二人を、若い未来へ、幸福な生涯へ、見送らねばならぬ義務がある。
牢獄の花嫁
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
上は
白金巾
(
しろかなきん
)
で包んで、細い杉丸太を通した
両端
(
りょうたん
)
を、水でも
一荷
(
いっか
)
頼まれたように、容赦なく
担
(
かつ
)
いでいる。その担いでいるものまでも、こっちから見ると、例の
唄
(
うた
)
を陽気にうたってるように思われる。
坑夫
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「こぼすなよ。取落すなよ。かような時には、人ひとり失うても、平時の五百三百の損にもあたる。荷物
一荷
(
いっか
)
は、百荷にも当るぞ。敵にも、あわてたりと、笑わるるものじゃ。心して渡れよ」
茶漬三略
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
と、検視の舟からは、
一荷
(
いっか
)
の酒が、移された。
茶漬三略
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
一
常用漢字
小1
部首:⼀
1画
荷
常用漢字
小3
部首:⾋
10画
“一荷”で始まる語句
一荷物