一帖いちじょう)” の例文
その頃、一帖いちじょう七銭の原稿用紙を買いに、中井の駅のそばの文房具屋まで行くのに、おいはぎが出ると云う横町よこちょうを走って通らなければならなかった。
落合町山川記 (新字新仮名) / 林芙美子(著)
その式には白粉おしろいを神像の顔に塗ることあり。大同の家には必ずたたみ一帖いちじょうしつあり。この部屋へやにてよるる者はいつも不思議にう。まくらかえすなどは常のことなり。
遠野物語 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
花松魚はながつお紙袋かんぶくろへ入れて置くのだが、是も猫鰹節ねこぶしこまッかに削ったものさ、海苔のり一帖いちじょう四銭二厘にまけてくれるよ、六つに切るのを八つに切るのだ、是にはしを添えて出す
白絹でつつんで、さらに、ちつで抱いた愛らしい一帖いちじょう経本きょうほんがはいっていた。紺紙に金泥きんでいの細かい文字が、一字一字、精緻せいちな仏身のように、端厳たんげんな気と、精進しょうじんの念をこめて、書かれてあった。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
欲しがる半紙の量が一帖いちじょうまとまって来ると母はとても承知しないのでした。
生々流転 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
武「これ此処こゝに有る紙を一帖いちじょう呉れんか」
政談月の鏡 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)