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やなぎはら
其頃は
着手の無いインパネスの
最一倍袖の
短いのを
被て雑誌を持つて
廻る、
私は
又紫ヅボンと
云れて、
柳原仕入の
染返の
紺ヘルだから、
日常に出ると
紫色に見える
奴を
穿いて
やあ、えらい
事に
成りました。……
柳原の
燒あとへ、
何うです。……
夜鷹より
先に
幽靈が
出ます。……
若い
女の
眞白なんで。——
自警隊の
一豪傑がつかまへて
見ると、それが
婆だ。
のみか、いつのまにやら日はたそがれ、
盂蘭盆会の
熱鬧のちまたも遠く夕闇の
楊柳原まで来てしまった。