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まんぢう
裝飾といつても
夜目に
鮮やかな
樣に、
饅頭や
其の
他の
物を
包む
白いへぎ
皮を
夥しく
括り
附けて
置くのである。
鍵を
預つて
居る人は、前の街道を一二
町行つた
処の、
鍛冶屋の隣の
饅頭屋であつた。場末の町によく見るやうな
家の
構で、せいろの
中の田舎
饅頭からは湯気が立つて
居る。
おい……ハヽヽ
彼方へ
逃げて
往きやアがつた、
馬鹿な
奴だなア……
先刻むぐ/\
喰つてゐた
粟饅頭……ムンこゝに
烟の
出る
饅頭がある、
喰かけて
残して
往きやアがつたな。