-
トップ
>
-
まるあたま
齒みかきの
箱我れもと
威を
張りて、
割據の
机の
上に
寄りかゝつて、
今まで
洋書を
繙て
居たは
年頃二十歳あまり三とは
成るまじ、
丸頭の五
分刈にて
顏も
長からず
角ならず、
眉毛は
濃くて
目は
黒目がちに
が、耳も
牙もない、
毛坊主の
円頂を、水へ
逆に
真俯向けに成つて、
麻の
法衣のもろ
膚脱いだ両手両脇へ、ざぶ/\と水を掛ける。——
恁る
霜夜に、
掻乱す水は、氷の上を
稲妻が走るかと疑はれる。