“つちけむり”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
土煙80.0%
土烟20.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
麹町かうぢまち番町ばんちやう火事くわじは、わたしたち鄰家りんか二三軒にさんげんが、みな跣足はだし逃出にげだして、片側かたがは平家ひらや屋根やねからかはら土煙つちけむりげてくづるゝ向側むかうがは駈拔かけぬけて、いくらか危險きけんすくなさうな、四角よつかどまがつた
露宿 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
何時間かののち、この歩兵陣地の上には、もう彼我ひがの砲弾が、すさまじいうなりを飛ばせていた。目の前に聳えた松樹山の山腹にも、李家屯りかとんの我海軍砲は、幾たびか黄色い土煙つちけむりを揚げた。
将軍 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
今の大工場がどどんとすさまじい音をたてて、まるつぶれにたおれて、ぐるり一ぱいにもうもうと土烟つちけむりが立ち上る、附近の空地あきちへにげようとしてかけ出したものの
大震火災記 (新字新仮名) / 鈴木三重吉(著)
ですから源が振返って後を見た時は、舞揚る黄色い土烟つちけむりの中に、紫と白とがすれすれに並び進んで、乗迫って来たのを認めたばかり。おそるべき灰色の馬頭は塵埃ほこりに隠れて見えませんのでした。
藁草履 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)