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ぢざうそん
過て宇都谷
峠に到れば
絶頂の
庵室地藏尊の
境内に
西行の
袈裟掛松あり其所の
脇へ年の頃五十位と見ゆる旅
僧のやつれたるが十歳許りの女の子を引立來り彼の
僧目を
此瀧を
過ぎて
小一町、
道のほとり、
山の
根の
巖に
清水滴り、三
體の
地藏尊を
安置して、
幽徑磽确たり。
其の
地蔵尊が、
前の
方から
錫杖を
支いたなりで、
後に
続いた
私と
擦違つて、
黙つて
坂の
方へ
戻つて
行かるゝ……と
案山子もぞろ/\と
引返すんです。