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せきざう
この
目的のためには、
賢實なる
石造または
甎造の
恒久的宮殿を
造營する
事は
都合が
惡いのである。
行つても/\知らん
地方だ。
低地が高台になつて瀬の早い川が
逶迤と通つてゐる処もあつた。
烟突も無い
小舎や木の枝を編むで
拵へた納屋が
後になつて、立派な邸や
石造の建物が見える。
塚の
上に
趺坐して
打傾いて
頬杖をした、
如意輪の
石像があつた。と
彼のたよりのない
土器色の
月は、ぶらりと
下つて、
仏の
頬を
片々照らして、
木蓮の
花を
手向けたやうな
影が
射した。
たそがれの青き光に半面を空に向けつつ泣ける
石像