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じつしつ
さうして
其人世觀は
口で
述べるもの、
頭で
聞くものでは
駄目であつた。
心の
實質が
太くなるものでなくては
駄目であつた。
彼は
考へた。けれども
考へる
方向も、
考へる
問題の
實質も、
殆んど
捕まえ
樣のない
空漠なものであつた。
彼は
考へながら、
自分は
非常に
迂濶な
眞似をしてゐるのではなからうかと
疑つた。
彼の
処女作が
市場に
出たとき、まだ
年の
少いこの
天才の
出現に
驚かされて、
集まつて
来た
多くの
青年も、そろ/\
彼の
実質が
疑はれて
来たやうに、
二人去り三
人離れして