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こもど
つか/\と
行懸けた
與吉は、これを
聞くと、あまり
自分の
素氣なかつたのに
氣がついたか、
小戻りして
眞顏で、
眼を
一ツ
瞬いて
と、
却つて
坂下へ
小戻りにつか/\と
近づいたが、
餘り
傍へ
寄ると、
靄が、ねば/\として
顏へ
着きさうで、
不氣味で
控へた。
と
小戻りして、
及腰に、
引こ
拔くやうにバスケツトを
掴んで、
慌てて
辷つて、
片足で、
怪飛んだ
下駄を
搜して
逃げた。
氣の
毒さうな
顏をしたが、
女もそツと
立つて
來る。