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後
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うしろ
ふりがな文庫
“
後
(
うしろ
)” の例文
あひるさんが、ある日、お母様から頂いたおいしさうな、大きな桃を持つてゐますと
後
(
うしろ
)
で、「あひるちやんや」といふ声がしました。
あひるさん と にはとりさん
(新字旧仮名)
/
村山籌子
(著)
その時A操縦士がちらと
後
(
うしろ
)
をふりかえった。風はますます
烈
(
はげ
)
しくなって、そのうえ雨さえ加わって来たので機体は無茶苦茶に揺れた。
飛行機に乗る怪しい紳士
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
と
停車場
(
ステエション
)
の
後
(
うしろ
)
は、
突然
(
いきなり
)
荒寺の裏へ入った形で、
芬
(
ぷん
)
と身に
沁
(
し
)
みる
木
(
こ
)
の葉の
匂
(
におい
)
、鳥の羽で
撫
(
な
)
でられるように、さらさらと——袖が鳴った。
唄立山心中一曲
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
さて、夜がふけてから、御寺を出て、だらだら下りの坂路を、五条へくだろうとしますと、案の
定
(
じょう
)
後
(
うしろ
)
から、男が一人抱きつきました。
運
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
正面より見れば
生
(
う
)
まれ
立
(
た
)
ての馬の子ほどに見ゆ。
後
(
うしろ
)
から見れば
存外
(
ぞんがい
)
小さしといえり。御犬のうなる声ほど
物凄
(
ものすご
)
く恐ろしきものはなし。
遠野物語
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
▼ もっと見る
誰か、
後
(
うしろ
)
から追いかけて来る者がある。編笠を
被
(
かぶ
)
って、
干飯袋
(
ほしいぶくろ
)
に旅の持物を入れ、短い義経
袴
(
ばかま
)
の袴腰にくくり付けている若者だった。
山浦清麿
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そして、ぽかんとした鷺太郎が、一二分ばかりも待った時であろうか、跫音がしたと思うと、いきなり
後
(
うしろ
)
から、ぽんと肩を叩かれた。
鱗粉
(新字新仮名)
/
蘭郁二郎
(著)
熊手にした指で、ふさふさ落ちかかって来る髪の毛を、しきりと
後
(
うしろ
)
へ高く掻きあげながら、眼の玉をくるりとむき、唇をとがらせて
貞操問答
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
菜
(
な
)
が
洗
(
あら
)
ひ
畢
(
をは
)
つた
時
(
とき
)
枯葉
(
かれは
)
の
多
(
おほ
)
いやうなのは
皆
(
みな
)
釜
(
かま
)
で
茹
(
ゆ
)
でゝ
後
(
うしろ
)
の
林
(
はやし
)
の
楢
(
なら
)
の
幹
(
みき
)
へ
繩
(
なは
)
を
渡
(
わた
)
して
干菜
(
ほしな
)
に
掛
(
か
)
けた。
自分等
(
じぶんら
)
の
晝餐
(
ひる
)
の
菜
(
さい
)
にも
一釜
(
ひとかま
)
茹
(
ゆ
)
でた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
後
(
うしろ
)
を限る
書割
(
かきわり
)
には
小
(
ちいさ
)
く
大名屋敷
(
だいみょうやしき
)
の
練塀
(
ねりべい
)
を
描
(
えが
)
き、その上の空一面をば無理にも夜だと思わせるように
隙間
(
すきま
)
もなく
真黒
(
まっくろ
)
に塗りたててある。
すみだ川
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
と
抜刀
(
ぬきみ
)
の両人、文治の
後
(
うしろ
)
より鋭く切掛けました。其の時早く文治は前に押えた腕を
捩上
(
ねじあ
)
げ、同役
二人
(
ににん
)
が
振下
(
ふりおろ
)
す刀の下へ突付けました。
後の業平文治
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
それでも姉娘の
継子
(
つぎこ
)
は、お延の座があいにく自分の影になるのを
気遣
(
きづか
)
うように、
後
(
うしろ
)
を向いて
筋違
(
すじかい
)
に
身体
(
からだ
)
を延ばしながらお延に
訊
(
き
)
いた。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
此
(
この
)
遊歩
(
いうほ
)
の
間
(
あひだ
)
、
武村兵曹
(
たけむらへいそう
)
の
命
(
めい
)
ずる
儘
(
まゝ
)
に、
始終
(
しじゆう
)
吾等
(
われら
)
の
前
(
まへ
)
になり、
後
(
うしろ
)
になつて、
豫
(
あらかじ
)
め
猛獸
(
まうじう
)
毒蛇
(
どくじや
)
の
危害
(
きがい
)
を
防
(
ふせ
)
いで
呉
(
く
)
れた、
一頭
(
いつとう
)
の
猛犬
(
まうけん
)
があつた。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
後
(
うしろ
)
に、細君であろ、十八九の
引
(
ひっ
)
つめに
結
(
ゆ
)
って
筒袖
(
つつそで
)
の
娘々
(
むすめむすめ
)
した婦人が居る。土間には、西洋種の
瓢形
(
ふくべがた
)
南瓜
(
かぼちゃ
)
や、
馬鈴薯
(
じゃがいも
)
を
堆
(
うずたか
)
く積んである。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
スカートの上には赤とか青とか茶とか色とりどりの縞の前垂みたいなものを
後
(
うしろ
)
へ廻してまとい、女も男も足には大きな木履を穿く。
レンブラントの国
(新字新仮名)
/
野上豊一郎
(著)
老人の
後
(
うしろ
)
に立つてゐて、お付合のやうに笑ひながら
窓側
(
まどぎは
)
の柱に懸つてゐる時計を眺め、更に大形の懐中時計を
衣嚢
(
かくし
)
から出して見た。
道
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
そして波が来るたんびに私は妹を見失ったりMを見失ったりしました。私の顔が見えると妹は
後
(
うしろ
)
の方からあらん限りの声をしぼって
溺れかけた兄妹
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
綱曳
(
つなひき
)
にて
駈着
(
かけつ
)
けし紳士は
姑
(
しばら
)
く休息の後内儀に導かれて
入来
(
いりきた
)
りつ。その
後
(
うしろ
)
には、今まで居間に潜みたりし
主
(
あるじ
)
の
箕輪亮輔
(
みのわりようすけ
)
も附添ひたり。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
そういう
特種
(
とくしゅ
)
の社会哲学を、
誰
(
たれ
)
が誰に語っているのかと思えば、
聴手
(
ききて
)
には
後
(
うしろ
)
に耳のないわたしへで、語りかけるのは福沢氏だった。
マダム貞奴
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
「このあたりはずつと小さい家ばかり續いてるのよ。
後
(
うしろ
)
はすぐ畠。麥だらう、大分青くなつて。——丁度天滿町見たいなところ。」
赤い鳥
(旧字旧仮名)
/
鈴木三重吉
(著)
『さうだ、神樣に頼みたいことがあつたら、前から拜むより、
後
(
うしろ
)
からさう言つた方がよく聞えるぜ、お
賽錢
(
さいせん
)
も
此處
(
こゝ
)
からの方が
利
(
き
)
くよ。』
東光院
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
併しやっぱりボヤッとした無表情な顔で、クルリと
後
(
うしろ
)
向きになると、そのまま大急ぎで向うの路地へ
這入
(
はい
)
って行ってしまいました。
陰獣
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
先棒
(
さきぼう
)
と
後
(
うしろ
)
との
声
(
こえ
)
は、
正
(
まさ
)
に一
緒
(
しょ
)
であった。
駕籠
(
かご
)
が
地上
(
ちじょう
)
におろされると
同時
(
どうじ
)
に、
池
(
いけ
)
に
面
(
めん
)
した
右手
(
みぎて
)
の
垂
(
たれ
)
は、
颯
(
さっ
)
とばかりにはね
揚
(
あ
)
げられた。
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
それは
前
(
まへ
)
が
四角
(
しかく
)
で
後
(
うしろ
)
が
圓
(
まる
)
いといふ
意味
(
いみ
)
であります。この
塚
(
つか
)
の
模型
(
もけい
)
は
特
(
とく
)
に
置
(
お
)
いてありますから、それを
御覽
(
ごらん
)
になるとよくわかります。
博物館
(旧字旧仮名)
/
浜田青陵
(著)
汝の爲すところはあたかも夜
燈火
(
ともしび
)
を己が
後
(
うしろ
)
に携へてゆき、自ら益を得ざれどもあとなる人々をさとくする者に似たりき 六七—六九
神曲:02 浄火
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
息子の逢いびきの場所をうかがう
後
(
うしろ
)
めたさが、瞬時、金五郎の胸をかすめた。人の秘密を盗み見る
卑
(
いや
)
しさが、口中をざらつかせる。
花と龍
(新字新仮名)
/
火野葦平
(著)
二十分程のうちに
其
(
その
)
後
(
うしろ
)
の空に火の色の雲が出来た。最終のは
殊
(
こと
)
に大きく長く続いてセエヌ河も
亦
(
また
)
火の河になるかと思はれる程であつた。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
が、その時彼は、
後
(
うしろ
)
の方に姿さえ見えない亀と、一生懸命競走している自分は、何と馬鹿げてみえることだろうと、考えました。
兎と亀
(新字新仮名)
/
ロード・ダンセイニ
(著)
有名な
乳房銀杏
(
ちぶさいちょう
)
から
後
(
うしろ
)
には杉松その他の木が繁っていて、昼も暗いくらいだから、夜はまだ燈明を消さぬ間から暗いのであった。
怪異暗闇祭
(新字新仮名)
/
江見水蔭
(著)
そのうち今太郎君は、むき出しになつてゐる両方の手が、鱶の
食慾
(
しよくよく
)
をそゝり立てはしまいかと気遣つたので、そつと
後
(
うしろ
)
の方へ
廻
(
まは
)
しました。
動く海底
(新字旧仮名)
/
宮原晃一郎
(著)
源内先生は、口を挟まずに聴いていたが、藤十郎が語りおわると、今迄自分の
後
(
うしろ
)
に差置いてあった骨箱を藤十郎の膝の前に据え
平賀源内捕物帳:長崎ものがたり
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
大将の小早川隆景が早くもそれを看て取って、味方の勇気を挫かせないために、わざと
後
(
うしろ
)
向きに陣を取らせた。こうすれば敵はみえない。
三浦老人昔話
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
大きな声で、
後
(
うしろ
)
に私が行つて見てゐるなどは夢にも知らねえで、一生懸命に読んで御座らつしやる。……不思議な気がしたにも何にも……
ある僧の奇蹟
(新字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
書斎へ来て新聞を見ようとして、自身の事の出て居るのに気が附いた鏡子は、三四種の新聞を
後
(
うしろ
)
の
靜
(
しづか
)
の机の上へそのまゝ載せた。
帰つてから
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
それと共に、何だか
後
(
うしろ
)
めたいやうな、愛情の混乱と云つた風な奇妙なこんぐらかりが、房一の内心に苦痛と動揺とをよび起した。
医師高間房一氏
(新字旧仮名)
/
田畑修一郎
(著)
しょっちゅう
後
(
うしろ
)
から、戸に頭をぶつけてまで、「あのう、
並
(
なみ
)
の食卓で召し上りますか、それとも、別にお一人分の食卓に致しましょうか」
ぶどう畑のぶどう作り
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
あのお母様の
後
(
うしろ
)
の白い壁についておりました血の
滴
(
したた
)
りを思い出しまして、ともすると私の心は物狂おしくなるので御座いました。
押絵の奇蹟
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
大きな
護謨毬
(
ごむまり
)
を投げ付ける様に、
後
(
うしろ
)
からぶつかって来る風の
塊
(
かたま
)
りがあっても、鼠色のソフトを飛ばすまいと頭に手を
遣
(
や
)
ったり
乗合自動車
(新字新仮名)
/
川田功
(著)
彼
(
かれ
)
は
熱心
(
ねつしん
)
に
書
(
か
)
いて
居
(
ゐ
)
る
草
(
くさ
)
の
上
(
うへ
)
に
腰
(
こし
)
から
上
(
うへ
)
が
出
(
で
)
て、
其
(
その
)
立
(
た
)
てた
膝
(
ひざ
)
に
畫板
(
ぐわばん
)
が
寄掛
(
よりか
)
けてある、そして
川柳
(
かはやぎ
)
の
影
(
かげ
)
が
後
(
うしろ
)
から
彼
(
かれ
)
の
全身
(
ぜんしん
)
を
被
(
おほ
)
ひ
画の悲み
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
坊や、お前と己とはちょいと
談話室
(
パーラー
)
へ戻って、
扉
(
ドア
)
の
後
(
うしろ
)
にいてさ、ビルをちょっとばかりびっくりさせてやろうよ、——うん、確かにそうだ。
宝島:02 宝島
(新字新仮名)
/
ロバート・ルイス・スティーブンソン
(著)
その男の白装束の
後
(
うしろ
)
には脊一ぱいに何やら太い文字が書かれてあった。見送っているとその姿はだんだん遠くなってしまった。
北の冬
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
野牛のとがつた角は
後
(
うしろ
)
の方にまがり爪がふたつに割れるほど、あばれてみましたが、舌はぬけませんでした、はては大きな声で泣きながら
小熊秀雄全集-14:童話集
(新字旧仮名)
/
小熊秀雄
(著)
なんだか共感を誘う弱点に
依
(
よ
)
って、いまこの男は、二人の女の
後
(
うしろ
)
についてやって来て、そうして、白樺の幹の蔭に身をかくし、息を殺して
女の決闘
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
然し一人は前からで、一人は
後
(
うしろ
)
からです。
後
(
うしろ
)
から左肺を刺すのは普通では一寸むずかしいじゃありませんか。それに襖の切口をごらんなさい。
琥珀のパイプ
(新字新仮名)
/
甲賀三郎
(著)
顱頂
(
ろちょう
)
の極めてまん
円
(
まる
)
な所(誰だって大体は円いに違いないが、案外でこぼこがあったり、上が平らだったり、
後
(
うしろ
)
が絶壁だったりするものだ。)
斗南先生
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
当夜
(
とうや
)
例のとおり、研究室内に泊っていた筈だが、どうしていたかと云うと、赤外線男のために、もろくも
猿轡
(
さるぐつわ
)
をはめられ両手を
後
(
うしろ
)
に
縛
(
しば
)
られて
赤外線男
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
士官の顔が
襟
(
えり
)
まで
真
(
ま
)
っ
赧
(
か
)
になったのが
後
(
うしろ
)
からも認められたが、途端に彼の声も興奮したような
顫
(
ふる
)
えを帯びて止めどもなく大きくなって行った。
細雪:03 下巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
をりふし人目の
関
(
せき
)
もなかりしかば、心うれしくおはたやをいでゝ家の
後
(
うしろ
)
にいたり、
窓
(
まど
)
のもとに立たる男を
将
(
ゐ
)
て
木小屋
(
きこや
)
に入ぬ。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
後
(
うしろ
)
の方へ『じじっ毛』と言って少しばかりの髪を残して置く、それから少しすると耳の上の所へも少しの髪を貯えて、これを『やっこ』と言う。
鳴雪自叙伝
(新字新仮名)
/
内藤鳴雪
(著)
毛を
梳
(
す
)
かるる際しばしばその脚の端蹄の
後
(
うしろ
)
ちょうど人の腕にあたる処へその絆に付けた
木丸
(
きだま
)
を
挟
(
はさ
)
み、後向きに強く
抛
(
な
)
げて馬卒に
中
(
あ
)
てたものあり
十二支考:05 馬に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
“後(
前後
)”の解説
前後(ぜんご・まえうしろ)とは、六方位(六方)の名称の一つで、縦や奥行を指す方位の総称。この内、進む方向を前(まえ)、これと対蹠に退く方向を後(うしろ)という。
古くは「まへ」・「しりへ」とも呼ばれた。「へ」は方向を指し、「まへ」は目の方向、「しりへ」は背の方向である。
(出典:Wikipedia)
後
常用漢字
小2
部首:⼻
9画
“後”を含む語句
後退
最後
後妻
午後
背後
後日
後生
後方
其後
以後
後継
後日譚
前後
後裔
後々
向後
後見
後宮
後来
明後日
...