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冷
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ひやゝ
ふりがな文庫
“
冷
(
ひやゝ
)” の例文
卯平
(
うへい
)
は
勘次
(
かんじ
)
との
間
(
あひだ
)
は
豫期
(
よき
)
して
居
(
ゐ
)
た
如
(
ごと
)
く
冷
(
ひやゝ
)
がではあつたが、
丁度
(
ちやうど
)
落付
(
おちつ
)
かない
藁屑
(
わらくづ
)
を
足
(
あし
)
で
掻
(
か
)
つ
拂
(
ぱ
)
いては
鷄
(
にはとり
)
が
到頭
(
たうとう
)
其
(
そ
)
の
巣
(
す
)
を
作
(
つく
)
るやうに
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
大佐は
冷
(
ひやゝ
)
かに
片頬
(
かたほ
)
に笑みつ「はア、閣下、山木には
無骨
(
ぶこつ
)
な軍人などは駄目ださうです、既に三国一の
恋婿
(
こひむこ
)
が
内定
(
きま
)
つて居るんださうですから」
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
岩
(
いは
)
を
削
(
けづ
)
つて
點滴
(
したゝ
)
る
水
(
みづ
)
は、
其
(
そ
)
の
火
(
ひ
)
の
見
(
み
)
階子
(
ばしご
)
に、
垂々
(
たら/\
)
と
雫
(
しづく
)
して、
立
(
た
)
ちながら
氷柱
(
つらゝ
)
に
成
(
な
)
らむ、と
冷
(
ひやゝ
)
かさの
身
(
み
)
に
染
(
し
)
むのみ。
何處
(
どこ
)
に
家
(
いへ
)
を
燒
(
や
)
く
炎
(
ほのほ
)
があらう。
魔法罎
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
思へば
悟道
(
ごだう
)
の末も
稍〻
(
やゝ
)
頼もしく、風白む窓に、傾く月を
麾
(
さしまね
)
きて
冷
(
ひやゝ
)
かに
打笑
(
うちゑ
)
める顏は、
天晴
(
あつぱれ
)
大道心者
(
だいだうしんしや
)
に成りすましたり。
滝口入道
(旧字旧仮名)
/
高山樗牛
(著)
『
御大家
(
ごたいけ
)
のお孃樣……だか、奧樣だか、……
阿母
(
おつか
)
さん……だか知らないが、お
駕籠
(
かご
)
にでも召さないとお疲れになるんだね。』と、小池は
冷
(
ひやゝ
)
かに笑つた。
東光院
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
▼ もっと見る
「広田先生や野々宮さんは
嘸
(
さぞ
)
後
(
あと
)
で僕等を
探
(
さが
)
したでせう」と始めて気が付いた様に云つた。美禰子は
寧
(
むし
)
ろ
冷
(
ひやゝ
)
かである。
三四郎
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
これらの事に
付
(
つき
)
て
熟思
(
つら/\おもふ
)
に、
絹
(
きぬ
)
を
織
(
おる
)
には
蚕
(
かひこ
)
の
糸
(
いと
)
ゆゑ
阳熱
(
やうねつ
)
を
好
(
このみ
)
、
布
(
ぬの
)
を織には
麻
(
あさ
)
の糸ゆゑ
阴冷
(
いんれい
)
を
好
(
この
)
む。さて
絹
(
きぬ
)
は寒に用ひて
温
(
あたゝか
)
ならしめ、布は
暑
(
しよ
)
に用て
冷
(
ひやゝ
)
かならしむ。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
「然し世間のラブと云ふものは、貴方の云ふやうな、そんな冷たい
冷
(
ひやゝ
)
かなものばかりでも無いでせう。」
茗荷畠
(新字旧仮名)
/
真山青果
(著)
が、この親子の
間柄
(
あひだ
)
といふものは、祖父が余り過度に愛した
故
(
せゐ
)
でもあらうが、それは驚くばかり
冷
(
ひやゝ
)
かで、何かと言つては、
直
(
ぢ
)
き親子で衝突して、
撲
(
なぐ
)
り合ひを始める。
重右衛門の最後
(新字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
外で
冷
(
ひやゝ
)
かな空気に触れると
酔
(
よひ
)
が足りない。もすこし飲んで出れば
可
(
よ
)
かつたと思つた。
節操
(新字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
もう
何事
(
なにごと
)
も
思
(
おも
)
ひますまい
思
(
おも
)
ひますまいとて
頭巾
(
づきん
)
の
上
(
うへ
)
から
耳
(
みゝ
)
を
押
(
おさ
)
へて
急
(
いそ
)
ぎ
足
(
あし
)
に
五六歩
(
ごろつぽ
)
かけ
出
(
いだ
)
せば、
胸
(
むね
)
の
動悸
(
どうき
)
のいつしか
絶
(
た
)
えて、
心靜
(
こゝろしづ
)
かに
氣
(
き
)
の
冴
(
さ
)
えて
色
(
いろ
)
なき
唇
(
くちびる
)
には
冷
(
ひやゝ
)
かなる
笑
(
ゑ
)
みさへ
浮
(
うか
)
かびぬ。
うらむらさき
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
まして侍従の君はます/\
驕慢
(
きょうまん
)
に、残酷になり、彼が熱を上げれば上げるほど
冷
(
ひやゝ
)
かな仕打をし、もう少しと云う所へ来ては突っ放すので、可哀そうな平中は、とう/\それが原因で病気になり
少将滋幹の母
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
「
竹本
(
たけもと
)
」や「
常磐津
(
ときはづ
)
」を初め
凡
(
すべ
)
ての
浄瑠璃
(
じやうるり
)
は立派に複雑な感激を
現
(
あらは
)
して居るけれど、「音楽」から見れば歌曲と云はうよりは楽器を用ゐる朗読詩とも云ふべく、
咄嗟
(
とつさ
)
の感情に訴へるには
冷
(
ひやゝ
)
か過ぎる。
黄昏の地中海
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
『いけません!』と
船長
(
せんちやう
)
は
冷
(
ひやゝ
)
かに
笑
(
わら
)
つた。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
夜
(
よ
)
の森のかげ、
暗
(
くら
)
く
冷
(
ひやゝ
)
なる
列
(
つらね
)
のもとを
第二邪宗門
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
さて、その
刹那
(
せつな
)
、
冷
(
ひやゝ
)
かに
晶子詩篇全集
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
季節
(
きせつ
)
は
雨
(
あめ
)
に
濕
(
しめ
)
つた
土
(
つち
)
へ
稀
(
まれ
)
にかつと
暑
(
あつ
)
い
日
(
ひ
)
の
光
(
ひかり
)
が
投
(
な
)
げられて、
日歸
(
ひがへ
)
りの
空
(
そら
)
が
強健
(
きやうけん
)
な
百姓
(
ひやくしやう
)
の
肌膚
(
はだ
)
にさへぞく/\と
空氣
(
くうき
)
の
冷
(
ひやゝ
)
かさを
感
(
かん
)
ぜしめて
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
雨戸
(
あまど
)
を
開
(
あ
)
けて
欄干
(
らんかん
)
から
外
(
そと
)
を
見
(
み
)
ると、
山気
(
さんき
)
が
冷
(
ひやゝ
)
かな
暗
(
やみ
)
を
縫
(
ぬ
)
つて、
橋
(
はし
)
の
上
(
うへ
)
を
提灯
(
ちやうちん
)
が
二
(
ふた
)
つ
三
(
み
)
つ、どや/\と
人影
(
ひとかげ
)
が、
道
(
みち
)
を
右左
(
みぎひだり
)
へ
分
(
わか
)
れて
吹立
(
ふきた
)
てる
風
(
かぜ
)
に
飛
(
と
)
んで
行
(
ゆ
)
く。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
冷
(
ひやゝ
)
かな小池の言葉には答へないで、お光は沈んだ調子ながらに、昔しの思ひ出を
懷
(
なつ
)
かしみつゝ語つた。
東光院
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
村の人々、無情なる村の人々、死しても
猶
(
なほ
)
和睦
(
わぼく
)
する事を
敢
(
あへ
)
てせぬ程の
冷
(
ひやゝ
)
かなる村の人々の心! この冷かなる心に向つて、重右衛門の霊は何うして和睦せられよう。
重右衛門の最後
(新字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
三四郎は
斯
(
こ
)
う云ふ場合になると挨拶に困る男である。咄嗟の機が過ぎて、
頭
(
あたま
)
が
冷
(
ひやゝ
)
かに働き出した時、過去を顧みて、あゝ云へば
好
(
よ
)
かつた、
斯
(
か
)
うすれば
好
(
よ
)
かつたと後悔する。
三四郎
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
地寒
(
ちかん
)
のよわきとつよきとによりて
氷
(
こほり
)
の
厚
(
あつき
)
と
薄
(
うすき
)
との
如
(
ごと
)
し。天に
温冷熱
(
をんれいねつ
)
の三
際
(
さい
)
あるは、人の
肌
(
はだへ
)
は
温
(
あたゝか
)
に
肉
(
にく
)
は
冷
(
ひやゝ
)
か
臓腑
(
ざうふ
)
は
熱
(
ねつ
)
すると
同
(
おな
)
じ
道理
(
だうり
)
也。
気中
(
きちゆう
)
万物
(
ばんぶつ
)
の
生育
(
せいいく
)
悉
(
こと/″\
)
く天地の
気格
(
きかく
)
に
随
(
したが
)
ふゆゑ也。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
何事か暫し
囁
(
さゝや
)
きしが、
一言毎
(
ひとことごと
)
に
點頭
(
うなづ
)
きて
冷
(
ひやゝ
)
かに打笑める男の肩を輕く叩きて
滝口入道
(旧字旧仮名)
/
高山樗牛
(著)
と侯爵の
冷
(
ひやゝ
)
かに笑ふを
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
今こそわれは
冷
(
ひやゝ
)
かに
晶子詩篇全集
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
空
(
そら
)
に
冴
(
さ
)
えた
月
(
つき
)
は
放棄
(
はうき
)
してある
手水盥
(
てうづだらひ
)
を
覗
(
のぞ
)
いては
冷
(
ひやゝ
)
かに
笑
(
わら
)
うて
居
(
ゐ
)
る。
彼等
(
かれら
)
が
餘
(
あま
)
りに
暇
(
ひま
)
どつて
居
(
ゐ
)
れば
月
(
つき
)
はこつそりと
首
(
くび
)
を
傾
(
かたむ
)
けて
木
(
こ
)
の
葉
(
は
)
の
間
(
あひだ
)
から
覗
(
のぞ
)
いて
見
(
み
)
る。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
……お
二階
(
にかい
)
の
病床
(
びやうしやう
)
を、
久
(
ひさ
)
しぶりで、
下階
(
した
)
の
八疊
(
はちでふ
)
の
縁
(
えん
)
さきで、
風
(
かぜ
)
冷
(
ひやゝ
)
かな
秋晴
(
あきばれ
)
に、
湯
(
ゆ
)
どうふを
召
(
あ
)
がりながら
湯どうふ
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
それを梅子は
冷
(
ひやゝ
)
かな挨拶と思つたに
違
(
ちがひ
)
ない。其
冷
(
ひやゝ
)
かな言葉が、梅子の平生の思ひ切つた
動作
(
どうさ
)
の
裏
(
うら
)
に、
何処
(
どこ
)
にか引つ
掛
(
かゝ
)
つてゐて、とう/\此手紙になつたのだらうと代助は判断した。
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
舌の
爛
(
ただ
)
れるまで吸うた煙管にまた煙草を詰めながら、道臣は
冷
(
ひやゝ
)
かに言つた。
天満宮
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
山の清水の
冷
(
ひやゝ
)
かなるが爲めなるべし。
秋の岐蘇路
(旧字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
どの
玉葱
(
たまねぎ
)
も
冷
(
ひやゝ
)
かに
晶子詩篇全集
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
社會
(
しやくわい
)
の
方
(
はう
)
で
彼等
(
かれら
)
を
二人
(
ふたり
)
限
(
ぎり
)
に
切
(
き
)
り
詰
(
つ
)
めて、
其
(
その
)
二人
(
ふたり
)
に
冷
(
ひやゝ
)
かな
背
(
そびら
)
を
向
(
む
)
けた
結果
(
けつくわ
)
に
外
(
ほか
)
ならなかつた。
外
(
そと
)
に
向
(
むか
)
つて
生長
(
せいちやう
)
する
餘地
(
よち
)
を
見出
(
みいだ
)
し
得
(
え
)
なかつた
二人
(
ふたり
)
は、
内
(
うち
)
に
向
(
むか
)
つて
深
(
ふか
)
く
延
(
の
)
び
始
(
はじ
)
めたのである。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
「一時間や二時間早う着いても仕樣がない。先きい行く車追ひ拔いたかて、乘つてる客の手柄にならん。」と、千代松は
冷
(
ひやゝ
)
かに言つて、
定
(
き
)
めただけの賃錢をやると、竹丸を連れてずん/\歩き出した。
天満宮
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
「
何故
(
なぜ
)
です」と代助は
冷
(
ひやゝ
)
かに
落
(
お
)
ち
付
(
つ
)
いて
聞
(
き
)
いた。梅子は眉を
動
(
うご
)
かした。
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
「
君
(
きみ
)
も
大分
(
だいぶ
)
変
(
かは
)
つたね」と
冷
(
ひやゝ
)
かに云つた。
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
冷
常用漢字
小4
部首:⼎
7画
“冷”を含む語句
冷笑
冷々
冷評
冷遇
冷水
冷淡
冷嘲
冷酒
冷却
冷奴
冷凍
湯冷
冷飯
冷泉
底冷
寒冷
冷気
秋冷
朝冷
冷冷
...