)” の例文
素裸すっぱだかになって、ものを背負しょって、どうとか……って、話をするのを、小児こどもの時、うとうと寝ながら聞いて、面白くってたまらない。
河伯令嬢 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
毛を、血を飲んで昆弟相疑ひ、山に登る事飛禽の如く、草を行く事走獣の如し。恩を承けては則ち忘れ、怨を見ては必ず報ゆ。
武士を夷ということの考 (新字新仮名) / 喜田貞吉(著)
金銀用度も皆兄まかせにて我が所有ものといふものもなく、ただることと食ふこととに不足なさざるばかりなれば奴隷といふてもかるべし
印度の古話 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
ときとばあいでは果し合もするくらいの心組みでいったのに、根も葉もない恩をせられ、親友と呼ばれ、僅かながら金まで置いて来た。
百足ちがい (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
古の人曰へらく、人は神と財とに兼ねつかふること能はず。されば生命の爲に何を食ひ、何を飮み、また身體の爲に何をむと思ひわづらふ勿れ。
美的生活を論ず (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
「憶い出してもゾッと致します。それにものもビッショリ濡れているせいか、私はまだ歯の根が合いませぬ。オオさむ……」
剣難女難 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
我は可笑しき振舞せんによろしからんとおもへば、状師だいげんにんの服を借りて歸りぬ。これをて云ふべきこと爲すべきことの心にかゝりて、其夜はほとほと眠らざりき。
さらば何を食い何を飲みなにをんと思いわずらうなかれ、これみな異邦人の求むる者なり、爾らの天の父はすべてこれらのものの必需なくてならぬことを知りたまえり
基督信徒のなぐさめ (新字新仮名) / 内村鑑三(著)
その恩滴したゝりは野の牧場まきをうるほし、小山はみなよろこびにかこまる。牧場はみなひつじの群を、もろ/\の谷は穀物たなつものにおほはれたり。彼等はみなよろこびてよばはりまたうた
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
この引力は人をしてたまたま偉大なる人物とならしめ、適ま醜悪なる行為をなさしめ、或は善、或は悪、或は聖愛、或は痴情、等の名をたる百般の光景を現出して
熱意 (新字旧仮名) / 北村透谷(著)
同書二巻十五章、元日の条にいわく、この日皇帝以下貴賤男女皆白色をる、白を多祥として年中幸福をけんとこいねがうに因る。またあいおくるに白色の諸品を以てす。
子曰く、やぶれたる縕袍おんぼうて、狐貉こかくたるひとと立ちて恥じざるものは、それ由か。(子罕、二七)
孔子 (新字新仮名) / 和辻哲郎(著)
晏平仲嬰あんぺいちうえいは、(三六)らい夷維いゐひとなりせい靈公れいこう莊公さうこう景公けいこうつかへ、節儉力行せつけんりよくかうもつせいおもんぜらる。すでせいしやうとして、(三七)しよくにくかさねず、せふ(三八)きぬず。
あすこではものを暖かく着せてくれて、食べものも不自由はさせない……それでわたしも独り身になれば口すぎが出来る……今に奉公口がきまって、いい保護者でも見つかれば
小さきもの (新字新仮名) / モーリス・ルヴェル(著)
ふでさきにてたがやたる收入しふにふきはめて僅少きんせうにして、みづかひ、みづかるにいまらざれども、らざるうちにもそれをたくはへて、もつ子孫しそんつたへるといふ、其子そのこいまいのである。
吾人は決してかかる現象の武備社会に生出し来たるをもって毫も怪しむべからざるのこととなすなり。なんとなればその武士なるものはいわゆる人民の租をくらい、税をるものなり。
将来の日本:04 将来の日本 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
此書院に古画幅を掛たり。広一尺一二寸たけ三尺許装潢もふるし。一人物きんを頂ききうたり。舟に坐して柳下に釣る。欵なし。筆迹松花堂様の少く重きもの也。寺僧浦島子うらしまがこかたなりといふ。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
木綿を手織たおってているかどうかを知らないが、風呂の水も、雑用の水も、熔岩の下から渓河たにがわから汲み上げて、富士の高根の雪解の水と雨水との恩恵の下に、等分に生きていることを思うと
不尽の高根 (新字新仮名) / 小島烏水(著)
破れたる縕袍おんぼう狐貉こかくを衣る者と、ともに立って恥じざる
御萩と七種粥 (新字新仮名) / 河上肇(著)
「酔筆匇匇報故国。乃生載衣語偏繁。遥知阿母多喜色。今日天涯添一孫。」〔酔筆匇匇故国ニ報ズ/すなわチ生マレすなわセ語ひとえニ繁ナリ/遥カニ知ル阿母ノ喜色多キヲ/今日天涯一孫ヲ添フ〕の絶句にその喜びを
下谷叢話 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
母親おっかさん、明後日あさっては何をて行こうネ」
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
おまえは無実の罪をせられ、追放になったことで思い詰めた結果、ものごとを実際より過大に感じ、そのためにのぼせあがっているのだ
婆さんがものを脱ぐんだろう、三途川さんずのかわの水でも可い、末期に一杯飲みてえもんだ、と思いましたがね、口へ入ったなあ冷酒の甘露なんで。
式部小路 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
昨日は人の波打ちしコルソオの大道には、往き交ふ人まばらにして、白衣にあゐ色の縁取りしをたる懲役人の一群、あられの如く散りぼひたる石膏のたまを掃き居たり。
空の鳥野の百合花ゆりはこの法則に従い居ればこそ何を食い何を飲み何をんとて思いわずらわざるなり、社会は生存競争のみを以て維持するものにあらざるなり
基督信徒のなぐさめ (新字新仮名) / 内村鑑三(著)
因って豹を尊ぶ事無類で王族ならではその皮をるを得ず、これをり殺すに種々の作法あり
仙といふは露を喫し葉をるものを言ふのでは無い。道の至れるものを指して言ふので、儒に於て聖賢といひ、佛に於て佛菩薩といふと同じく、道に於て仙といふのである。
努力論 (旧字旧仮名) / 幸田露伴(著)
対えて曰く、これをくすというにあらざれども、願わくは学びがてらにせん、宗廟のまつりしくは会同のとき、玄端(を)章甫(を冠り)願わくは小相とならん。点よ爾は何如。
孔子 (新字新仮名) / 和辻哲郎(著)
ひと(三三)郊祭かうさい犧牛ぎぎうざるこれ養食やうしすること數歳すうさいするに(三四)文繍ぶんしうもつてし、もつ(三五)太廟たいべうる。ときあたつて、(三六)孤豚ことんたらんとほつすといへども、けん
それでも凍えてはならないと、有りったけの衣類を出してた、困ったことには雷鳴がいかにも強い、頭上五、六尺のところを、転がって行くようで、神経がピリピリするから、鉈でも、眼鏡でも
白峰山脈縦断記 (新字新仮名) / 小島烏水(著)
「もう、見たかい。……ええ、高島田で、紫色のものを着た、美しい、気高い……十八九の。……ああ、悪戯いたずらをするよ。」
絵本の春 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
せた卑劣な男を、貴方はゆるしきることができますか、人間が人間をゆるすとか、救うとかいうことには限度がありますよ
ちくしょう谷 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
この故に我なんじらにつげん、生命いのちのために何を食い何を飲みまた身体からだのために何をんと憂慮おもいわずらうことなかれ、生命はかてよりまさり身体はころもよりも優れる者ならずや
基督信徒のなぐさめ (新字新仮名) / 内村鑑三(著)
季冬にろうに先だつ一日大いにおにやらいす、これを逐疫という、云々、方相氏は黄金の四目あり、熊皮をかぶり、玄裳朱衣してほこを執りたてを揚ぐ、十二獣は毛角をるあり、中黄門これを行う
幕は開きたり、只だ見る、男子三人女子二人より成れるひとホロスの唱和するを。その骨相を看れば、座主ざすは俄に畎畝けんぽの間より登庸し來りて、これに武士もののふの服をせしにはあらずやと疑はれぬ。
建文三年二月、燕王自ら文をせんし、流涕りゅうていして陣亡の将士張玉等を祭り、服するところのほうを脱してこれき、以て亡者ぼうしゃするの意をあらわし、曰く、れ一いえどもや、以て余が心をれと。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
空の気味の悪いほど、奥までいて光っているだけに、富士山は繻子しゅすでもたように、厚ぼったくふやけている、いつもの、洗われたように浄い姿ではない、重々しい、鼠ッぽい色といったらない。
白峰山脈縦断記 (新字新仮名) / 小島烏水(著)
、追放になったことで役目をはたした、それで充分だ、明日ここから江戸へゆけ、そして自分の身を立てるくふうをするがいい、わかったか
人間だって、皮、血、肉、五臓ごぞう六腑ろっぷ、そんなものでつかねあげて、これにものを着せるんです。第一貴下あなた、美人だって、たかがそれまでのもんだ。
春昼 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
ここおいて清の独り緋をるを見て之を疑う。ちょうおわる。せい奮躍してを犯さんとす。帝左右に命じて之を収めしむ。剣を得たり。せい志のぐべからざるを知り、植立しょくりつして大にののしる。衆その歯をけっす。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
空に向かって伸びているその枝々は、いま雪をりんと力づよく、昏れかかる光の中に独り、静かに、しんと立っていた。
憎いやつなら何もおれが仕返しをする価値ねうちはないのよ。だからな、食うこともることも、なんでもおまえの好きなとおり、おりゃ衣ないでもおまえには衣せる。
夜行巡査 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
自分の名を汚したいめんを捨てて罪をて呉れた、こんなことがあるだろうか、拙者には信じられなかった、いかに度量が大きく心がひろくとも
日本婦道記:藪の蔭 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
春雨はるさめのしめやかに、なぞひとつ。……何枚なんまいものをかさねても、おやくつははだばかり、なに?……たけのこ
寸情風土記 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
黒門の代々の伝説は虚構ではなかった、彼は緋縅ひおどし大鎧おおよろいておらず金鍬形きんくわがたかぶともかぶっていない。連銭葦毛れんせんあしげの駒にも乗っていないし若くもない。
似而非物語 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
その香のさと申したら、通りすがりの私どもさえ、しなにものを着換えましてからも、身うちが、ほんのりとさわやいで、一晩、極楽天上の夢を見たでござりますで。
怨霊借用 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
てまで主人の恥を背負ったんだ——そうだとすれば黙っててやるのが本当じゃないか、そうじゃないだろうか爺さん
夜の蝶 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
あとの二人ふたりとも、とき言合いひあはせたていに、うへしたで、ものの襞襀ひだまで、うなづいたのがおぼろわかつた。
三人の盲の話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
私は雪をた桃の井戸を見まもってじっと辛抱していたけれど、とうとう堪えきれなくなって、どうしたらよいかお教え下さるようにとお願いした。
日本婦道記:桃の井戸 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
帷子かたびらなんでござりますか、ぶわ/\したものをましたばうさんが、をかいて𢌞まはつてります。
浅茅生 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)