“偏”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
ひとえ34.9%
かたよ21.9%
ひと15.4%
へん11.8%
ひとへ8.3%
カタヨ1.8%
かた1.8%
あまね1.2%
かたえ0.6%
かたかた0.6%
ひとへに0.6%
ぺん0.6%
ヘン0.6%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
これというのもひとえに先きの世の宿業しゅくごうである。若し怨恨を結ぶ時にはそのあだというものは幾世かけて尽きるということのないものだ。
法然行伝 (新字新仮名) / 中里介山(著)
その子供の喰べものは外にまだかたよっていた。さかなが嫌いだった。あまり数の野菜は好かなかった。肉類は絶対に近づけなかった。
(新字新仮名) / 岡本かの子(著)
「夜深うしてまさに独りしたり、めにかちりとこを払はん」「形つかれて朝餐てうさんの減ずるを覚ゆ、睡り少うしてひとへに夜漏やろうの長きを知る」
少将滋幹の母 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
ことに漢字では女の字をへんまたはつくりに含めるものは、むろん善意を含めることなきにあらざるも、多くの場合むしろ悪意を含ましている。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
ひとへにこの君を奉じて孤忠こちゆうを全うし、美と富との勝負を唯一戦に決して、紳士の憎きつらの皮を引剥ひきむかん、と手薬煉てぐすね引いて待ちかけたり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
姫ははじめて、顏へカタヨつてかゝつて來る髮のうるさゝを感じた。筬の櫛目を覗いて見た。梭もはたいて見た。
死者の書 (旧字旧仮名) / 折口信夫釈迢空(著)
それほどのかたよった勉強は必要ないので、マアボツボツやって行ったらいいでしょう。
そこで始めて皆が疑いだしたが、周は成の心の異っていたことを知っているので、人をやって成のいそうな寺や山をあまね物色ぶっしょくさすと共に、時どき金やきぬをその子にめぐんでやった。
成仙 (新字新仮名) / 蒲 松齢(著)
通りすがりに考えつつ、立離たちはなれた。おもてあっして菜種なたねの花。まばゆい日影が輝くばかり。左手ゆんでがけの緑なのも、向うの山の青いのも、かたえにこの真黄色まっきいろの、わずかかぎりあるを語るに過ぎず。
春昼 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
例のゆがめる口をすぼめて内儀は空々そらぞらしく笑ひしが、たちまち彼の羽織のひもかたかたちぎれたるを見尤みとがめて、かんの失せたりと知るより、あわて驚きて起たんとせり、如何いかにとなればその環は純金製のものなればなり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
然れば亡父之靈魂れいこんをも安ぜしめ申度御座候に付、其節差上置候證文しようもん、御返被下候はゞ、亡父へも右之首尾相濟候儀を申解まうしとき候半歟と相考候付、宜敷御了解ごれうげ成下候處、ひとへに希候。
遺牘 (旧字旧仮名) / 西郷隆盛(著)
盡しけれ共其しるしなくつひに享保元年八月十八日歸らぬ旅におもむきけりよつて女房おもせは深くなげきしが今更せんなきことと村中の者共打よりて成田村なる九品寺くほんじ葬送さうそうなし一ぺんけふりとしてあと懇切ねんごろとふらひたり此おもせはいたつ貞節者ていせつものにて男まさりなりければ未だ年若としわかなれども家を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
日、月、山、川等の文字を始め、半ば絵になつてゐる場合も少くなく、愁、悲、涙、泪などは、そのヘンに一々意味が含まれてゐる。
閑人詩話 (新字旧仮名) / 河上肇(著)