“ひとえ”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:ヒトエ
語句割合
単衣60.5%
一重20.6%
11.9%
4.6%
一枝0.8%
単物0.4%
單衣0.4%
0.4%
単放0.2%
単衣物0.2%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
そして、それを紛らすために衣裳鞄いしょうかばんからポーラルの単衣ひとえ単帯ひとえおびとを出して着替えたり、脱いだ衣裳を衣紋掛えもんかけに掛けたりしていると
細雪:03 下巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
猩々緋しょうじょうひの服の上に、もう一重ひとえ草色繻子じゅすの肩ぎぬを着ていたが、その背には「ひときり」の一字が大紋みたいに金糸きんし刺繍ぬいとりしてあるのであった。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
呉服屋も、絵師も、役者も、宗教家も、……ことごとく夫人の手に受取られて、ひとえにその指環の宝玉の光によって、名を輝かし得ると聞く。
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
風呂敷には、もう一品ひとしな——小さな袖姿見てかがみがあった。もっとも八つ花形でもなければ柳鵲りゅうじゃくよそおいがあるのでもない。ひとえに、円形の姿見かがみである。
こうして、何番勝負かののち、酒餐しゅさんをたまい、伎女ぎじょ楽人がくじんの舞があって、一せいに、唱歌しおうて、秋ならば、菊、桔梗ききょうなどの一枝ひとえ一枝ひとえ家土産いえづとに、終日ひねもすかんをつくして終わるのであった。
びっくりして見上げましたら、それは古い白縞しろじま単物ひとえに、へんなみののようなものを着た、顔の骨ばって赤い男で、向うもおどろいたように亮二を見おろしていました。
祭の晩 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
それから繻珍しゆちん夏帶なつおびとおめし單衣ひとえ綾絹あやぎぬ蝙蝠傘かふもりがさとを強請ねだられてはせられたが、これは彼の消極的經濟せうきよくてきけいざいに取ツて、預算よさん以外の大支出だいししゆつで、確に一だい打撃だげきであツた。
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
泰文はひとえの直衣を素肌に着、冠もなしで広床の円座にあぐらをかいていたが
無月物語 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
地柄じがら縞柄しまがらは分らぬが、いずれも手織らしい単放ひとえすそみじかに、草履穿ばきで、日に背いたのはゆるやかに腰に手を組み、日に向ったのは額に手笠で、対向さしむかって二人——年紀としも同じ程な六十左右むそじそこら婆々ばば
星女郎 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
衣紋竹えもんだけに掛けた裾模様の単衣物ひとえに着かえ、赤い弁慶縞の伊達締だてじめを大きく前で結ぶ様子は、少し大き過る潰島田の銀糸とつりあって、わたくしの目にはどうやら明治年間の娼妓のように見えた。
濹東綺譚 (新字新仮名) / 永井荷風(著)