“単衣”のいろいろな読み方と例文
旧字:單衣
読み方割合
ひとえ78.9%
ひとへ9.5%
ひとえもの9.2%
ひとへもの1.3%
ひとえぎぬ0.5%
たんい0.3%
ゆかたがけ0.3%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
それもしかし、この上もなく質朴で地味な単衣ひとえに包んで、化粧さえも忘れた、お関の底光りのする美しさには比ぶべくもありません。
二十七日の十時に船はポオト・サイド港にり申しさふらひき。暑気にはかに加はり、薄き単衣ひとへとなりて甲板かふばんさふらへど堪へ難くもさふらふかな。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
ほかの女たちはさすがにそれぞれ小綺麗な単衣ひとえものを着ていたが、それでもめっきり涼しくなったと寂しそうに言うかれらの顔の上には
両国の秋 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
「里見さん。あなたが単衣ひとへものて呉れないものだから、着物きものにくくつてこまる。丸で好加減いゝかげんにやるんだから、少し大胆ぎますね」
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
人もさはよか※なりとじて、掻いくくみて臥しぬる後、いと寒き折などに、唯単衣ひとえぎぬばかりにて、生憎あやにくがりて……思ひ臥したるに、奥にも外にも、物うち鳴りなどしておそろしければ
日本精神史研究 (新字新仮名) / 和辻哲郎(著)
ミルトンのたからかにぎんじたところ饑渇きかつなか々にしがたくカントの哲学てつがくおもひひそめたとて厳冬げんとう単衣たんいつひしのぎがたし。
為文学者経 (新字旧仮名) / 内田魯庵三文字屋金平(著)
彼は、帽子ひとつかむらず、よれよれの単衣ゆかたがけか何かで、何処からともなく戻つたままだつた。
茜蜻蛉 (新字旧仮名) / 牧野信一(著)