トップ
>
捨
>
すて
ふりがな文庫
“
捨
(
すて
)” の例文
田の草をとる時にも、峠を越す時にも、この帽子はおれの
連
(
つれ
)
だったが、今は別れる時だ。留吉は、帽子を
捨
(
すて
)
てしまおうと決心しました。
都の眼
(新字新仮名)
/
竹久夢二
(著)
火の中に尾はふたまたなる
稀有
(
けう
)
の大
猫
(
ねこ
)
牙
(
きば
)
をならし
鼻
(
はな
)
をふき
棺
(
くわん
)
を目がけてとらんとす。人々これを見て棺を
捨
(
すて
)
、こけつまろびつ
逃
(
にげ
)
まどふ。
北越雪譜:06 北越雪譜二編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
僕は、プライドの高い男だ。どんな偉い先輩にでも、呼び
捨
(
すて
)
にされると、いやな気がする。僕は、ちやんと、それだけの仕事をしてゐる。
火の鳥
(新字旧仮名)
/
太宰治
(著)
口
(
くち
)
にせねば
入譯
(
いりわけ
)
御存
(
ごぞん
)
じなきこそよけれ
御恩
(
ごおん
)
がへしにはお
望
(
のぞ
)
み
叶
(
かな
)
へさせまして
悦
(
よろこ
)
び
給
(
たま
)
ふを
見
(
み
)
るが
樂
(
たの
)
しみぞと
我
(
わ
)
れを
捨
(
すて
)
ての
周旋
(
とりもち
)
なるを
五月雨
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
いかに、あの
体
(
てい
)
では、蝶よりも蠅が
集
(
たか
)
ろう……さし
捨
(
すて
)
のおいらん草など
塵塚
(
ちりづか
)
へ運ぶ途中に似た、いろいろな湯具
蹴出
(
けだ
)
し。
瓜の涙
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
▼ もっと見る
さういふ
処
(
ところ
)
は
拠
(
よんどころ
)
なく
捨
(
すて
)
置いていつか分る時もあらうと
茫然
(
ばうぜん
)
と
迂遠
(
うゑん
)
な区域に
止
(
とど
)
め
置
(
おい
)
て、別段
苦
(
くるしみ
)
もいたしませんかつた。
黄金機会
(新字旧仮名)
/
若松賤子
(著)
粗製濫造から来る偶然の省略法や単化と、ガラスの味とが
入交
(
いりまじ
)
ってまた
捨
(
すて
)
がたい味を作っているものがあるのです。
楢重雑筆
(新字新仮名)
/
小出楢重
(著)
衣食のことよりも更に自分を動かしたのは折角これまでに
計営
(
けいえい
)
して校舎の改築も美々しく落成するものを
捨
(
すて
)
て
終
(
しま
)
うは
如何
(
いか
)
にも残念に感じたことである。
酒中日記
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
見て
驚
(
おどろ
)
きたる
體
(
てい
)
なりしが其盜賊は
全
(
まつた
)
く
私
(
わたく
)
しなり
那
(
あ
)
の者は
御助
(
おんたす
)
け下さるべしと申けるを
聞
(
きゝ
)
伊兵衞は
喜
(
き
)
八に
對
(
むか
)
ひ汝は我が
先達
(
さきだつて
)
の
寸志
(
すんし
)
を
報
(
むくは
)
んとて命を
捨
(
すて
)
て我を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
これを御本家
始
(
はじめ
)
御親類の御女中に言わせると折角
花車
(
きゃしゃ
)
な当世の流行を
捨
(
すて
)
て、娘にまで手織縞で得心させている中へ、奥様という他所者が舞込で来たのは
旧主人
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
お辰
素性
(
すじょう
)
のあらまし
慄
(
ふる
)
う筆のにじむ墨に
覚束
(
おぼつか
)
なく
認
(
したた
)
めて守り袋に父が書き
捨
(
すて
)
の
短冊
(
たんざく
)
一
(
ひ
)
トひらと共に
蔵
(
おさ
)
めやりて、明日をもしれぬ
我
(
わ
)
がなき後頼りなき
此子
(
このこ
)
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
或は「困難の
問屋
(
といや
)
である」といいて冷笑する者もあり、或は「国人に
捨
(
すて
)
られし時」などと唱えて自分を国家的人物に擬するは
片腹痛
(
かたはらいた
)
しと嘲ける者もあった。
基督信徒のなぐさめ
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
谷間田は
直
(
すぐ
)
帽子を取り羽織を着てさも/\拙者は時間を無駄には
捨
(
すて
)
ぬと云う見栄で、長官より先に
出去
(
いでさり
)
たり
無惨
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
瑞安寺では顔役で、両国のびっこ
捨
(
すて
)
、日本橋の伊勢とならんで
鼎
(
かなえ
)
の足と立てられているこのわしだが、姿見井戸へ行ってはまるで
嬰児
(
あかご
)
だて。えらい奴がおるでな。
つづれ烏羽玉
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
只
(
たゞ
)
彼等
(
かれら
)
の
凡
(
すべ
)
ては
藁
(
わら
)
を
打
(
う
)
つて
繩
(
なは
)
を
綯
(
な
)
ふべき
夜
(
よる
)
の
務
(
つと
)
めを
捨
(
すて
)
て
公然
(
こうぜん
)
一
所
(
しよ
)
に
集合
(
しふがふ
)
する
機會
(
きくわい
)
を
見出
(
みいだ
)
すことを
求
(
もと
)
めて
居
(
ゐ
)
る。
集合
(
しふがふ
)
することが
直
(
たゞち
)
に
彼等
(
かれら
)
に
娯樂
(
ごらく
)
を
與
(
あた
)
へるからである。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
それはこの晩、かの鼻緒屋のお
捨
(
すて
)
を
嚇
(
おど
)
したという怪しい娘によく似た女が、あたかもそれと同じ時刻に酒屋の裏口を覗いていたのを見た者があるというのであった。
半七捕物帳:23 鬼娘
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
「
父
(
とっ
)
さんは宵寝だし、兄さんは銭湯へ行ったきりだし、
捨
(
すて
)
さんは風邪の気味で夕方から床へ入ったし」
銭形平次捕物控:045 御落胤殺し
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
もしお
母様
(
っかさん
)
、誠に
私
(
わたくし
)
は不孝者でございます、お
母
(
っか
)
さんには早くお別れ申して何一つ御恩も送らず小さい時から御養育をうけました大恩のある一人のお
父
(
とっ
)
さんを
捨
(
すて
)
て
政談月の鏡
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
どうしても、「アラビヤ人の
天幕
(
てんと
)
」は詩人の夢である。演出者は安価な感激や和製の技巧を
捨
(
すて
)
て、せめてその刹那だけでも心からの詩人になろうとしなければならぬ。
ダンセニーの脚本及短篇
(新字新仮名)
/
片山広子
(著)
事あれかしの世間は、我儘娘の末路、自由結婚、恋愛
三昧
(
ざんまい
)
の
破綻
(
はたん
)
を
呵責
(
かしゃく
)
なく責めて、美妙に
捨
(
すて
)
られた稲舟は、美妙を
呪
(
のろ
)
って小説「悪魔」を書いていると毒舌を
弄
(
ろう
)
した。
田沢稲船
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
昔かの漢学者流は、西洋を観て
夷
(
い
)
と云い、
蛮
(
ばん
)
と云い、国字訳本ありといえども
捨
(
すて
)
て
省
(
かえり
)
みず、すでにしかして漢訳諸本の航来するに至りてはじめて、その蛮夷にあらざるを知る。
平仮名の説
(新字新仮名)
/
清水卯三郎
(著)
一
(
いち
)
(総領の
一太郎
(
いちたろう
)
氏なり)と
捨
(
すて
)
(次男の
捨次郎
(
すてじろう
)
氏なり)、家内と子供を連れて
其処
(
そこ
)
へ行こうと云う覚悟をして居た所が、ソレ程心配にも及ばず、追々官軍が
入込
(
いりこ
)
んで来た所が存外優しい
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
知らない人は赤い処ばかりくれろなんぞと腿の赤身の一番悪い処を買って良い処を
捨
(
すて
)
てしまう。赤い処でも上等のロースなら外に使い
途
(
みち
)
があるけれども、白い処は煮るほど美味くなるのだ。
食道楽:春の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
路には御馬印
捨
(
すて
)
候を伊藤武蔵と云ふ広島浪人跡より来り捨たる御馬印を取揚て、唐迄聞えたる御馬印を捨置、
落行
(
おちゆく
)
段大阪数万の軍勢に勇士一人も無し、伊藤武蔵、御馬印を揚帰るとて御馬印を
大阪夏之陣
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
それが今はもう石油が出なくなったので、人々は
此方
(
こちら
)
の小屋を見捨てて、
彼処
(
かしこ
)
に移ってしまったのだろう。この桶も、もう
箍
(
たが
)
が腐って、石油を
容
(
い
)
れる役には立たないので
捨
(
すて
)
てあるものと見える。
暗い空
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
如何
(
いか
)
なれば
規則
(
きそく
)
はあつても、
茲
(
こゝ
)
に
學問
(
がくもん
)
は
無
(
な
)
いのである。
哲學
(
てつがく
)
を
捨
(
すて
)
て
了
(
しま
)
つて、
他
(
た
)
の
醫師等
(
いしやら
)
のやうに
規則
(
きそく
)
に
從
(
したが
)
つて
遣
(
や
)
らうとするのには、
第
(
だい
)
一に
清潔法
(
せいけつはふ
)
と、
空氣
(
くうき
)
の
流通法
(
りうつうはふ
)
とが
缺
(
か
)
くべからざる
物
(
もの
)
である。
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
豹変
(
ひょうへん
)
して私を
捨
(
すて
)
て(というと、二人の間に何かいまわしい関係でも出来ていたようだが、決してそんなことはない)木崎初代に対して求婚運動を始めたのであるから全く「突然」に相違ないのである。
孤島の鬼
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
捨
(
すて
)
てしまえと、言っているのに!
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
古寺
(
ふるでら
)
やほうろく
捨
(
すて
)
る
芹
(
せり
)
の中
郷愁の詩人 与謝蕪村
(新字新仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
火の中に尾はふたまたなる
稀有
(
けう
)
の大
猫
(
ねこ
)
牙
(
きば
)
をならし
鼻
(
はな
)
をふき
棺
(
くわん
)
を目がけてとらんとす。人々これを見て棺を
捨
(
すて
)
、こけつまろびつ
逃
(
にげ
)
まどふ。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
沈
(
しづ
)
めしうへ身の代金の三十兩は兩人にて
遣
(
つか
)
ひ
捨
(
すて
)
たるに
相違
(
さうゐ
)
有まじ夫故にこそ三次に頼み後の
憂
(
うれ
)
ひを除かん爲又お安を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
余が宇宙の漂流者となりし時、その時こそ爾が爾の無限の愛を余に示し得る時にして、余が爾を
捨
(
すて
)
んとする時爾は余の
迹
(
あと
)
を
逐
(
お
)
い余をして爾を離れ得ざらしむ。
基督信徒のなぐさめ
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
小田原
(
をだはら
)
から
先
(
さき
)
は
例
(
れい
)
の
人車鐵道
(
じんしやてつだう
)
。
僕
(
ぼく
)
は一
時
(
とき
)
も
早
(
はや
)
く
湯原
(
ゆがはら
)
へ
着
(
つ
)
きたいので
好
(
す
)
きな
小田原
(
をだはら
)
に
半日
(
はんにち
)
を
送
(
おく
)
るほどの
樂
(
たのしみ
)
も
捨
(
すて
)
て、
電車
(
でんしや
)
から
下
(
お
)
りて
晝飯
(
ちうじき
)
を
終
(
をは
)
るや
直
(
す
)
ぐ
人車
(
じんしや
)
に
乘
(
の
)
つた。
湯ヶ原より
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
何
(
どう
)
でも詰らぬ恋を
商買
(
しょうばい
)
道具の一刀に
斬
(
きっ
)
て
捨
(
すて
)
、横道入らずに奈良へでも西洋へでも
行
(
ゆか
)
れた方が良い、婚礼なぞ勧めたは爺が一生の誤り、外に悪い事
仕
(
し
)
た
覚
(
おぼえ
)
はないが
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
殺さんと迄に猛りたれど妾
巧
(
たく
)
みに其疑いを
言解
(
いいと
)
きたり斯くても妾は何故か金起を思い切る心なく金起も妾を
捨
(
すて
)
るに忍びずとて猶お懲りずまに不義の働きを為し居たり
無惨
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
とはいえ坊さんにだからとて恋がないとはいえないと弁護をして見ても、お鯉がその青年を
捨
(
すて
)
てまで、または捨られたとしても、それにかえるに老年の出家を選もう訳がない。
一世お鯉
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
彼
(
かれ
)
は
灰燼
(
くわいじん
)
の
中
(
なか
)
から
鍋
(
なべ
)
や
釜
(
かま
)
や
鐵瓶
(
てつびん
)
や
其
(
そ
)
の
他
(
た
)
の
器物
(
きぶつ
)
をだん/\と
萬能
(
まんのう
)
の
先
(
さき
)
から
掻
(
か
)
き
出
(
だ
)
した。
鐵製
(
てつせい
)
の
器物
(
きぶつ
)
は
其
(
そ
)
の
形
(
かたち
)
を
保
(
たも
)
つて
居
(
ゐ
)
ても
悉皆
(
みんな
)
幾年
(
いくねん
)
も
使
(
つか
)
はずに
捨
(
すて
)
てあつたものゝやうに
變
(
かは
)
つて
居
(
ゐ
)
た。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
もう
宜
(
い
)
いワイ、恩も義理も知んなえ様な畜生と知らずに、惣次郎が
騙
(
だま
)
されて命まで
捨
(
すて
)
る事になったなア
何
(
なん
)
ぞの約束だんばい、そんな心なら居て貰っても駄目だから、さア
此処
(
こけ
)
え
来
(
こ
)
う
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
砥石
(
といし
)
を前に控えたは
可
(
い
)
いが、
怠惰
(
なまけ
)
が通りものの、
真鍮
(
しんちゅう
)
の
煙管
(
きせる
)
を
脂下
(
やにさが
)
りに
啣
(
くわ
)
えて、けろりと往来を
視
(
なが
)
めている、つい目と鼻なる敷居際につかつかと入ったのは、
件
(
くだん
)
の若い者、
捨
(
すて
)
どんなり。
註文帳
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
夫
(
それ
)
がつひ
氣
(
き
)
の
毒
(
どく
)
にて
言
(
い
)
ひたるなれど、
心
(
こゝろ
)
に
障
(
さ
)
はらば二
度
(
ど
)
とは
言
(
い
)
はじ、
汝
(
そなた
)
に
捨
(
すて
)
られて
我
(
わ
)
れ
何
(
なに
)
としてか
世
(
よ
)
には
立
(
た
)
つべき、
心
(
こゝろ
)
おさなければ
目
(
め
)
にあまることも
有
(
あ
)
らん、
腹立
(
はらたゝ
)
しきことも
多
(
さは
)
ならんが
たま襻
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
馬道
(
うまみち
)
の鼻緒屋の娘で、ことし十六になるお
捨
(
すて
)
というのが近所まで買物に出ると、白地の手拭をかぶって、白地の浴衣を着た若い女が、往来で彼女とすれ違いながら、もしもしと声をかけた。
半七捕物帳:23 鬼娘
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
重
(
かさね
)
て、士の道に
無
二
勝負
一
しょうぶなく
して首
取無
レ
法
とるほうなく
槍を合せ運を天に任せん、と申ければ、げに誤りたりと槍
押取
(
おっとり
)
、床机の上に
居直
(
いなおり
)
もせず、二三槍を
合
(
あわせ
)
、槍を
捨
(
すて
)
、士の道は是迄也。
大阪夏之陣
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
如何
(
いか
)
なれば
規則
(
きそく
)
はあっても、ここに
学問
(
がくもん
)
は
無
(
な
)
いのである。
哲学
(
てつがく
)
を
捨
(
すて
)
てしまって、
他
(
た
)
の
医師等
(
いしゃら
)
のように
規則
(
きそく
)
に
従
(
したが
)
って
遣
(
や
)
ろうとするのには、
第
(
だい
)
一に
清潔法
(
せいけつほう
)
と、
空気
(
くうき
)
の
流通法
(
りゅうつうほう
)
とが
欠
(
か
)
くべからざる
物
(
もの
)
である。
六号室
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
捨
(
すて
)
ぜりふを残すと、駕籠を促して里の方へ、一散に駆け降ります。
裸身の女仙
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
遊
(
あそ
)
び
過
(
すご
)
して
遣
(
つか
)
ひ
捨
(
すて
)
しとは
合點
(
がてん
)
行
(
ゆか
)
ねど其方が
打叩
(
うちたゝ
)
かれても一言の
言譯
(
いひわけ
)
さへもせざりしゆゑ
如何成
(
いかなる
)
天魔
(
てんま
)
が
魅
(
みい
)
りしかと今が今迄思ひ居たるに全く若旦那の引負を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
余は此事件の真実の転末を知んが為には身を
捨
(
すて
)
るも可なり職業を
捨
(
すつ
)
るも惜からずとまでに思いたり
血の文字
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
銀の
猫
(
ねこ
)
捨
(
すて
)
た所が
西行
(
さいぎょう
)
なりと喜んで
誉
(
ほ
)
むる
輩
(
ともがら
)
是も
却
(
かえっ
)
て雪のふる日の寒いのに気が
付
(
つか
)
ぬ
詮義
(
せんぎ
)
ならん。
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
然れども二つとはなき此の
生命
(
せいめい
)
を
捨
(
すて
)
ても
真理
(
しんり
)
の為めに
尽
(
つく
)
さんと欲するものは
斯
(
かく
)
の如き
演劇的
(
えんげきてき
)
同盟
(
どうめい
)
に加はること
能
(
あた
)
はざるなり、
汝
(
なんぢ
)
一致
(
いつち
)
せんと欲する乎、
先
(
ま
)
づ汝の
主義
(
しゆぎ
)
を
決行
(
けつかう
)
せよ
時事雑評二三
(新字旧仮名)
/
内村鑑三
(著)
すこし銭あるものは
里
(
さと
)
より
山伏
(
やまぶし
)
をたのみて
祈
(
いの
)
らすもあり、されば九人にして十人は
死
(
し
)
する也。此ゆゑに秋山の人他所へゆきてはうそうありとしれば、何事の用をも
捨
(
すて
)
て
逃
(
にげ
)
かへる也。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
「でもね、財産のあるお家の、家督を
捨
(
すて
)
て、いくらあなたが物好きでも……」
田沢稲船
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
捨
常用漢字
小6
部首:⼿
11画
“捨”を含む語句
打捨
取捨
捨置
聞捨
捨身
喜捨
姨捨山
姨捨
焼捨
言捨
用捨
見捨
捨台詞
捨小舟
脱捨
容捨
捨札
捨扶持
呼捨
摂取不捨
...