“嬰児”のいろいろな読み方と例文
旧字:嬰兒
読み方割合
あかご29.7%
えいじ26.4%
あかんぼ20.7%
みどりご6.5%
やや3.7%
あか2.0%
こども1.6%
ややこ1.2%
おさなご1.2%
ねんねえ1.2%
みずこ1.2%
ねんね0.8%
やゝこ0.4%
ちのみ0.4%
みずご0.4%
ちご0.4%
ねね0.4%
みつご0.4%
みづこ0.4%
ようじ0.4%
ヤヤサマ0.4%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
軒かたむいた戸(こ)ごとから逃げ惑って行ったらしい嬰児(あかご)のボロ布(き)れやら食器の破片などが、そこらに落ちているのも傷々(いたいた)しく目に沁(し)みて
私本太平記:12 湊川帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それより悔改(コンチリサン)をなし、贖罪符(しょくざいふ)をうけて僧院を去れるも、帰途船中黒奴(ムール)はゴアにて死し、嬰児(えいじ)はすぐせと名付けて降矢木の家を創(おこ)しぬ。
黒死館殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
そういって嬰児(あかんぼ)を抱きあげるように抱きあげ、寝台の上に置いた。閻は恐れて気を失ってしまった。五通神はやがて寝台からおりて
五通 (新字新仮名) / 蒲 松齢(著)
それぞれに異(こと)なる光をつつむわれらの宝玉よ。うたがいもなく、すべての嬰児(みどりご)が宝玉である。母性の上に与えられた大いなる祝福よ。
最も楽しい事業 (新字新仮名) / 羽仁もと子(著)
「ここだけは、いつまでも、平和な山里でありますように。そして、よい嬰児(やや)が生れたら、お夫婦(ふたり)して河内へ見せに来てください」
私本太平記:05 世の辻の帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
悪戯(いたずら)を詫(わ)びた私たちの心を汲(く)んだ親雀の気の優(やさ)しさよ。……その親たちの塒(ねぐら)は何処(いずこ)?……この嬰児(あか)ちゃんは寂しそうだ。
二、三羽――十二、三羽 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
大小いろいろな嬰児(こども)達が、あるいは寵の列の間を走り廻り、又は煉瓦を組んだ上に坐っていた。母親の背中にいるのもある。
「な、勝子、こんなめんごい嬰児(ややこ)の顔も見ねえで死ぬなんて、勝子のおじちゃ(おじいさん)も馬鹿なお祖父(じ)ちゃだ。」
和紙 (新字新仮名) / 東野辺薫(著)
その祭壇の神々(こうごう)しさ! 遥かの奥の厨子(ずし)の内には十字架に掛かった基督(キリスト)の像と嬰児(おさなご)を抱いたマリアの像が燻(く)ゆる香煙(けむり)を纏(まと)いながら幻影(まぼろし)のように立っている。
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
「お前は嬰児(ねんねえ)だから解(わか)るまいね、知らない道理(わけ)だから言って聞かせよう、あのね、若お師匠様にね、御亭主(だんなさま)が出来たの。」
照葉狂言 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
……鳶尾根末(かびねまつ)、亜鉛華(あえんか)、麝香草(じゃこうそう)、羊脂(ようし)、魚膠(ぎょこう)、雷丸油(らいがんゆ)、疱瘡(ほうそう)で死んだ嬰児(みずこ)の脳漿(のうしょう)、それを練り合わせた塗抹剤……お着けすることに致しましょう
神州纐纈城 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
「親分、娘はあの通り嬰児(ねんね)だ、——そんな事を訊くのは殺生過ぎはしませんかえ」
そやかて嬰児(やゝこ)も居るしするんやもん、お父つあんかて、少し殺生どすがな。わては何も、是非森田と添ひたいいふんやあらへん。
乳の匂ひ (新字旧仮名) / 加能作次郎(著)
灯をつける間(ま)ももどかしく、良人(おっと)の膳を、と思うにつけて、自分の気の弱いのが口惜(くやし)かったけれども、目を瞑(ねむ)って、やがて嬰児(ちのみ)を襟に包んだ胸を膨(ふく)らかに、膳を据えた。
海異記 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
直ちに二人(ふたり)の執達吏入りきたり、わずかばかりの所有品は、ベッドも、シャツも、着物もすべて差し押え、なお嬰児(みずご)の揺床(ゆりどこ)も、泣き悲しみつつそばに立ちいたる二人の娘のおもちゃも
貧乏物語 (新字新仮名) / 河上肇(著)
光秀には、その蕪が、見ているうちに、裸の嬰児(ちご)が、手をひろげて、欠伸(あくび)しているように見えて来た。
新書太閤記:06 第六分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
おお、まだ年の行(ゆ)かぬ、嬰児(ねね)はんや。多一はんと、酒事(ささごと)しやはった覚えがないな。貴女(あんた)盞を先へ取るのを遠慮やないか。
南地心中 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「ゆえあってそちと君尾とは、生まれ落ちるから手もとに置けず、残念ながら嬰児(みつご)のうちから、一人は銅兵衛、一人は平左衛門へ託して傅育(ふいく)させたのだが、逢わざること十数年! ……兵庫兵庫!」
剣侠受難 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
物言はぬ嬰児(みづこ)を失ひても心狂ふは母の情、それを行末長き齢に、君とは故も無くて別れまゐらせ、可愛き盛りに幼児(をさなき)を見棄てつる悲しさは如何ばかりと覚す、されど斯ばかりの悲しさをも
二日物語 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
夕暗をすかしてみると、脛(すね)の正面の稜骨(りょうこつ)の右側の間に、嬰児(ようじ)の口よりも、もっと大きな口が開いている。自転車のどこかに付いている金の棒が、やわらかい肉に突きささり、そして掻き割いたらしい。
瀞 (新字新仮名) / 佐藤垢石(著)
そのこんど生れる嬰児(ヤヤサマ)をおっつけられると困るのであの御兄弟もこのごろはいたちの道切りと云うわけなので、おっつける人を今から一生懸命にあさっておいでになると云うことだ
錦木 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)