ひき)” の例文
もう一ぴき牝鹿めじかは、うみを一つへだてた淡路国あわじのくに野島のじまんでいました。牡鹿おじかはこの二ひき牝鹿めじかあいだ始終しじゅう行ったりたりしていました。
夢占 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
ひきのはちがちいさなくちにくわえてきた材料ざいりょうを、自分じぶんくちからるつばでかためていくのでありましたから、なかなかたいへんなことです。
はちの巣 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「見うけるところ、二ひきとも、乞食こじきにちかい六部ろくぶ雲水うんすい下手へたなところへでしゃばると、足腰あしこしたたぬ片端者かたわものにしてくれるぞ」
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ひき雌雄しゆうとらがううとうなりながら、一つおりのなかで荒れ狂っているような思い出が、千穂子の躯を熱く煮えたぎらせた。
河沙魚 (新字新仮名) / 林芙美子(著)
勝ってかえる人達はとにかく元気でした。陸上の東田良平が、大きなかめの子を二ひき、記念にもらくびひもをつけ、ほがらかに引張って歩いているのが目立っていました。
オリンポスの果実 (新字新仮名) / 田中英光(著)
それからおなかがすいてなりませんでしたから、岩の上をあちらこちらと食べものをさがして歩きました。が、ひる頃までかかって、やっとかにを二ひきっただけです。
海からきた卵 (新字新仮名) / 塚原健二郎(著)
あはれなちひさな蜥蜴とかげ甚公じんこう眞中まンなかて、二ひきぶたさゝへられながら一ぽんびんからなんだかしてもらつてましたが、あいちやんの姿すがたるとぐにみん其方そのはう突進とつしんしました
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
と、同時に囲炉裏には火がめろめろとえ出した。勘太郎は天井の穴に目をつけて下をのぞき始めた。めろめろとした赤いほのおは、炉端にすわっている四ひきの鬼の顔をらした。
鬼退治 (新字新仮名) / 下村千秋(著)
たかやまうへでおまけに坂道さかみちおほところですから荷物にもつはこのとほうまはこびました。どうかすると五ひきも六ぴき荷物にもつをつけたうまつゞいてとうさんのおうちまへとほることもありました。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
今日も復一はようやく変色し始めた仔魚しぎょを一ぴきひきさらすくい上げ、熱心に拡大鏡でながめていたが、今年もまた失敗か——今年もまた望み通りの金魚はついに出来そうもない。
金魚撩乱 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
大将「いいや。支那の大将とぶたを五ひきでとりかえたのじゃ。」
饑餓陣営:一幕 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
ひきのねこは、もうりようとしませんでした。ときどき、おびやかすように、ものすごい木枯こがらしが、かなければ、なおよかったのです。
どこかに生きながら (新字新仮名) / 小川未明(著)
ところがしばらくすると、またおとなりくに殿様とのさまから、信濃国しなののくにへお使つかいが手紙てがみってました。手紙てがみといっしょに二ひき牝馬めうまれてました。
姨捨山 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
寂しそうに留守をしていた姪は、留守中に訪ねてくれた人達だの、種々な郊外の出来事だのを話して、ついでに、黒が植木屋の庭の裏手にあるむろの中で四ひきばかりの子供を産んだことを言出した。
芽生 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
まるで二ひきのりすのように、そこで取ッ組んだ蛾次郎がじろう竹童ちくどう
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ひきの馬は、達二を見て、はなをぷるぷる鳴らしました。
種山ヶ原 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
そこで、中途ちゅうとまでいった時分じぶんには、五ひきともつかれてしまって、しばらく、えだうえやすんで、物珍ものめずらしげに、あたりの景色けしきなどをながめていました。
三匹のあり (新字新仮名) / 小川未明(著)
ひきおにはこのこえおどろいて、よくますと、あしもとにまめつぶのような小男こおとこが、いばりかえって、つッっていました。おにはからからとわらいました。
一寸法師 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
「ねえ、おかあさん、はちが一ぴきいないのよ。いつも二ひきのがどうしたんでしょうね?」といって、きいたのであります。
はちの巣 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「ふん、まぐれたりにたったな。いかにも二ひきねこ相違そういありません。それで一ぴき赤猫あかねこ、一ぴき白猫しろねこです。」
葛の葉狐 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
ひきありは、そこから三びきのおともだちにわかれてうえかえることになりました。そこには、こいしいおかあさんやおとうさんがすんでいられました。
三匹のあり (新字新仮名) / 小川未明(著)
長持ながもちのふたをあけると、なるほどあかと白のねこが二ひきしました。天子てんしさまも役人やくにんたちもしたをまいておどろきました。
葛の葉狐 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
こんなことが、二とないように、こらしめるとでもおもったのでしょう。しかし、彼女かのじょのもどったときは、二ひきのねこの姿すがたは、もうえませんでした。
どこかに生きながら (新字新仮名) / 小川未明(著)
くなったおじいさんにいたことがある。親子おやこからないうまは、二ひきはなしておいて、あいだくさけばいい。
姨捨山 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
おりおり、それらが、龍巻たつまきのごとく、おどりすことがありますが、二ひきのねこは、ひさしのすみのほうで、かぜをさけながら、それをながめていました。
どこかに生きながら (新字新仮名) / 小川未明(著)
むかし、摂津国せっつのくに刀我野とがのというところに、一ぴき牡鹿おじかんでいました。この牡鹿おじかには二ひきなかのいい牝鹿めじかがあって、一ぴき牝鹿めじか摂津国せっつのくに夢野ゆめのんでいました。
夢占 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
ほたるは、だんだんよわって、ごとに、ちいさなかわのほたるから、一ぴき、二ひきんでゆきました。そして、最後さいごうみぼたるだけがかごのなかのこりました。
海ぼたる (新字新仮名) / 小川未明(著)
殿様とのさまはまた、れてた二ひきうまをごらんになりますと、おおきさから毛色けいろまで、うり二つといってもいいほどよくうまで、おなじような元気げんきではねていました。
姨捨山 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
「え、そうなの。二ひきでいたのが、一ぴきいくらっても、もうかえってこないの。」と、光子みつこさんはこたえました。
はちの巣 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「では失礼しつれいですが、わたくしからもうげましょう。長持ながもちの中におれになったのはねこひきです。」
葛の葉狐 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
「ほんとうにうなら、学校がっこうのを四、五ひきあげよう。あとからきたまえ。」といって、先生せんせいは、せい一のあたまをぐりぐりとなでて、彼方あっちへいってしまわれました。
芽は伸びる (新字新仮名) / 小川未明(著)
一寸法師いっすんぼうしはおひめさまをれてしまがって、きょろきょろしながらあるいて行きますと、いつどこから出てきたともなく、二ひきおにがそこへひょっこりしてきました。
一寸法師 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
しょうちゃんは、二ひきんでしまって、いま一ぴきしかきていないことをはなしました。すると、やさしい先生せんせい
正ちゃんとおかいこ (新字新仮名) / 小川未明(著)
年寄としよりのいうことですが、なんでもしずかな真昼まひるごろ、足音あしおとをたてずに、いけちかよると、金銀きんぎんの二ひきのへびが、たわむれながら、水面すいめんおよいで、おやしろのほうへ
うずめられた鏡 (新字新仮名) / 小川未明(著)
正二しょうじは、自分じぶんたちのいったかわは、いまつめたいみずが、ゴウゴウとおとをたててながれているだろうとおもうと、あとの二ひきをそのかわがすにもなれなかったのです。
兄と魚 (新字新仮名) / 小川未明(著)
すると、どうでしょう、そこには二ひき小犬こいぬがいて、いま母犬ははいぬのもってきてくれた、さかなほねあらそいながら、ちいさなをぴちぴちとふってよろこんでたべているのでした。
母犬 (新字新仮名) / 小川未明(著)
晩方ばんがたしょうちゃんがそとからあそんでかえってきてみると、いつしかくわのはしおれてしまって、二ひきんで、あとの一ぴきだけが、はこのすみにじっとしていました。
正ちゃんとおかいこ (新字新仮名) / 小川未明(著)
せい一は、先生せんせいが、おおきなくわうえへ、かいこを七ひきばかり、のせてわたしてくだされたのをありがたくいただきました。さあこれをどうしてってかえったらいいだろう。
芽は伸びる (新字新仮名) / 小川未明(著)
「むぎわらとんぼが二ひきと、やんまをったよ。」と、ゆうちゃんは、とくいになってこたえました。
きれいなきれいな町 (新字新仮名) / 小川未明(著)
新聞紙しんぶんしくちをあけると、びっくりするようなぴちぴちとしたのが五ひきもはいっていました。
正ちゃんとおかいこ (新字新仮名) / 小川未明(著)
あるのこと、五ひきありがそとあそんでいて、おおきなくるみの見上みあげていました。
三匹のあり (新字新仮名) / 小川未明(著)
けれど、ふとつなることができなかったのです。そのうち、かぜちからがつきてしまい、いつしか、ひっそりとして、二ひきのこいも元気げんきなく、だらりと、さおのさきにたれさがりました。
心は大空を泳ぐ (新字新仮名) / 小川未明(著)
まことさんの留守るすに、春子はるこさんは、一人ひとりでかぶとむし玉虫たまむしとが、はこなかでもだえているのをながめていましたが、まことさんがかえると無理むりにすすめて、二ひきむしはらっぱへがしてやりました。
玉虫のおばさん (新字新仮名) / 小川未明(著)
「まるこのだよ。みじかいの二ひきより、一ぴきでも、このほうがいいだろう。」
夢のような昼と晩 (新字新仮名) / 小川未明(著)
このせい一は、おじいさんのいったように、わずかにちいさなふなを二ひきと、えびを三びきったばかりでした。夕飯ゆうはんのとき、おかあさんが、おじいさんの、今日きょうはなしをおきかせなされると
窓の内と外 (新字新仮名) / 小川未明(著)
かわでとってきてから、こんなにながくいたんだもの、あとの二ひきころしちゃ、ぼくたちがわるいのだよ。どうかして、このふゆすように、かわいがってやろうね。」と、にいさんはいいました。
兄と魚 (新字新仮名) / 小川未明(著)
べつに、自分じぶんったものとも、あいませんでした。ただ、ひろ運動場うんどうじょうに、こいのぼりがって、たかいさおのいただきに、あかくろの二ひきのこいが、きているように、大空おおぞらおよいでいました。
心は大空を泳ぐ (新字新仮名) / 小川未明(著)
ある子供こどもがガラスのびんをって、金魚きんぎょをほしいといって、いていました。すると、とおりかかったどじょうりのおじいさんが、そのびんのなかへ、どじょうを二ひきいれてくれました。
どじょうと金魚 (新字新仮名) / 小川未明(著)
ちいさいのは、まだまれてから日数ひかずのたたないぐまで、おおきいのは、ははぐまでした。二ひきは、いま自分じぶんたちが、人間にんげんにねらわれているということもしらずに、たのしくあそんでいたのであります。
猟師と薬屋の話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
かわにいれば、いろいろのものをべるから、おおきくなるのだけれど、こんないれもののなかでは、ほかにべるものがないだろう。しょうちゃん、あとの二ひきをかわいがってやろうね。」と、にいさんは
兄と魚 (新字新仮名) / 小川未明(著)