鼻眼鏡はなめがね)” の例文
「おや、牛の子が来てるよ。迷って来たんだね。」せいの高い鼻眼鏡はなめがねの公爵が段をあがって来て云ひました。
黒ぶだう (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)
たちまち書物をひざの上に伏せて、鼻眼鏡はなめがねをわざわざはずして、ああ駄目駄目スウィンバーンも、こんな詩を書くように老い込んだかなあと云って嘆息された。
永日小品 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
あら! あら! 短服チツヨツキくつ穿いたものがころがつてるぜと、おもつて、じつとると、はしのまんなかあたりへ鼻眼鏡はなめがねをはづした、しぶきがかゝつてくもつたとえる。
化鳥 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
シルクハットをかぶり、ぴかぴか光る靴をはき、小さなかばんをかかえ、ながい口髭くちひげをぴんとはやし、鼻眼鏡はなめがねをかけ、眼鏡めがねのふちから一本のほそい金鎖をたらし、それをえりもとにとめていました。
山の別荘の少年 (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
(ゾフィイと握手す。次に画家と握手し、鼻眼鏡はなめがねを外しつつ。)
左の方に鼻眼鏡はなめがねをかけて揉上もみあげ容赦ようしゃなく、耳の上でり落した男が帳面を出してしきりに何か書いている。
野分 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
急いではねをひろげ姿勢を直し、大尉の居る方を見ましたが、またいつかうとうとしますと、こんどは山烏が鼻眼鏡はなめがねなどをかけてふたりの前にやつて来て、大尉に握手しようとします。
烏の北斗七星 (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)
急いではねをひろげ姿勢を直し、大尉の居る方を見ましたが、またいつかうとうとしますと、こんどは山烏が鼻眼鏡はなめがねなどをかけてふたりの前にやって来て、大尉に握手あくしゅしようとします。
烏の北斗七星 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)