鼻垂はなた)” の例文
、母さんって呼んだらいいじゃないか。こんな子がどこかにいるだろうか。まだ乳臭ちちくさい、鼻垂はなたれ小僧のくせして、それで、人と違ったことがしたいなんて……
にんじん (新字新仮名) / ジュール・ルナール(著)
竹童ちくどうが好きなら、蛾次郎がじろうも好きだった。イヤ、菊村宮内きくむらくないという人物は、すべての子供——どんな鼻垂はなたれでもオビンズルでもきたない子でも、子供と名のつく者ならみんな好きだった。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
小汚こぎたない服装みなりをした鼻垂はなたらしではあったが犬のように軽快な身のこなしで、群れを作ってほしいままに遊び廻っているのが遊び相手のない私にはどんなに懐かしくも羨ましく思われたろう。
山の手の子 (新字新仮名) / 水上滝太郎(著)
自分は片手片足がかなくなってから、女房とも相談して飴屋あめやになった。が、ただ唐人笛とうじんぶえを吹いてひょこりひょこり歩いてるのでは、どんな鼻垂はなたれ小僧でも買ってくれようはずがなかった。
猫八 (新字新仮名) / 岩野泡鳴(著)
疳癪かんしやく筋骨すぢぼねつまつてかひとよりは一寸法師いつすんぼし一寸法師いつすんぼしそしらるゝも口惜くちをしきに、きち手前てめへおやなまぐさをやつたであらう、ざまをまはりのまはりの小佛こぼとけ朋輩ほうばい鼻垂はなたれに仕事しごとうへあだかへされて
わかれ道 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)