麁略そりやく)” の例文
畔柳元衛くろやなぎもとえの娘静緒しずおやかたの腰元に通勤せるなれば、今日は特に女客の執持とりもちに召れて、高髷たかわげ変裏かはりうらよそひを改め、お傍不去そばさらず麁略そりやくあらせじとかしづくなりけり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
麁略そりやくにせず力の入事いることなどはさせざりけり然ともお花は身をにしてなり恩をはうぜんものと思へば如何なるいやしわざをも少しもいとはず客が來れば夜具の上下あげさげ風呂ふろれば脊中せなか
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
江戸表御月番御老中おつきばんごらうちう御屆おんとゞけに相成る先達て御城代堀田相摸守殿よりの早打はやうち上聞じやうぶんに達せしに御覺悟ごかくご有せらるゝの上意なれば京都に於ても麁略そりやく無樣なきやうはからひ申さるべしとの事ゆゑさらば其儘に差置さしおかれずとにはか組與力等くみよりきら出張せしめ晝夜ちうやとも嚴重げんぢうかためさせける此方にては愈々上首尾と打悦うちよろこび又も近邊の有徳なる者どもを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)