“鮏(さけ)” の例文
○新撰字鏡魚(うを)の部(ぶ)に鮭(佐介(さけ))とあり、和名抄には本字は鮏(さけ)俗(ぞく)に鮭(さけ)の字を用ふるは非(ひ)也といへり。されば鮭の字を用ひしも古(ふる)し。
北の方のカムチャツカにも、またこの種類が棲(す)んでいて、鮏(さけ)を取るのに妙を得ている。
大菩薩峠:26 めいろの巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
古志(こし)の長岡魚沼(ながをかうをぬま)の川口あたりにて漁したる一番の初鮏(はつさけ)を漁師(れふし)長岡(ながをか)へたてまつれば、例(れい)として鮏(さけ)一頭(ひき)に(一頭を一尺といふ)米七俵の価(あたひ)を賜(たま)ふ。
我国にては毎年七月二十七日、所々にある諏訪(すは)の祭(まつ)りの次の日より鮏(さけ)の漁(れふ)をはじめ、十二月寒のあけるを漁(れふ)の終(をは)りとす。
又鮏(さけ)の時節(じせつ)にて、小千谷(をぢや)の前川(ぜんせん)は海に朝(てう)するの大河なれば今捕(とり)しをすぐに庖丁(はうちやう)す。味(あぢ)はひ江戸にまされり。一日鮏(さけ)をてんぷらといふ物にしていだせり。
余(よ)答(こたへ)てまづ食(しよく)終(をはり)てテンプラの来由(らいゆ)を語(かたる)べしといひつゝ鮏(さけ)のてんぷらを飽(あく)までに喰(しよく)せり。